2024年5月5日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年2月20日

 委員会が取り上げる問題は、習近平にとっていずれも我慢ならないものであろうとの観察はその通りであろうが、委員会が行うことの多くは政治劇であることを見逃して習近平が過剰に反応することをリスクに数えるのは勇み足であろう。政治劇で終わるか否かは今後の問題である。

委員会が議論の場となるか否かも未知数

 もとより、共和党がバイデン政権の対中国政策の弱腰を追及することに急いで、委員会が建設的な政策提言を行う場とならない可能性は排除されない。民主党にも一定の留保があり、民主党院内総務ハキーム・ジェフリーズは「超党派のパートナーシップの手を差し伸べる用意はある」が過激主義には抵抗する、「もし、委員会が極端なMAGA共和党(「Make America Great Again」の頭文字でいわゆるトランプ派)の主張に堕するのであれば、民主党は排外主義のレトリックや陰謀論には強く反対する」と述べている。

 また、委員会の公聴会がバイデン政権の行動の自由に一定の制約を課すことは避けられないであろう。

 しかし、米国の対中政策が超党派の支持を得てより強靭なものに刷新されることは望ましく必要と言うべきである。ギャラガーは台湾に対する武器の供与を急ぐことを最優先の課題に挙げているが、対中政策の刷新・強化が望ましい分野が存在することの一つの例と言えよう。

 中国特別委員会は賛成365、反対65の超党派の支持で新設された。反対票はすべて民主党票であったが、民主党議員146名が賛成票を投じた。「委員会が真剣で冷静なステイツマン(尊敬を受ける政治家)の議論の場であることを証明することは自分の責任である」とギャラガーは述べた由であるが、彼の手腕の如何が問われることとなろう。

   
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