2024年4月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年2月20日

cybrain/Gettyimages

 1月29日付英エコノミスト誌が、米国議会下院で新設された中国特別委員会について、米中関係に対する新たな脅威だとして警戒感を表明する記事を掲載している。

 米中関係の最も軋轢を生む分野について調査する共和党率いる議会の委員会が新たな挑戦として浮上しつつある。1月10日、ケビン・マッカーシー下院議長は「共産主義中国を信頼する時代は終わったという超党派のコンセンサスがある」と述べ、下院は賛成365、反対65で中国特別委員会の新設を承認した。

 中国を巡る議会の不安感は何も新しくない。が、中国特別委員会は米中関係のほぼすべての側面について高姿勢で調査を行うことになる。特に、彼(習近平)の政策と台湾を巡る緊張を警戒する西側ビジネスの心配を和らげようとする習近平の努力にとって、問題を惹起する可能性がある。

 委員会が取り上げる問題には、台湾に対する武器の売却、米国の年金基金による対中国投資、米国の農地の中国による所有、米国における中国の政治的工作活動、フェンタニル生産における中国の役割が含まれる(編集部注:フェンタニルは過剰摂取が米国で社会問題化している医療用麻薬であり、生産・密輸元はメキシコの麻薬マフィアだが原料を供給しているのは中国である)。

 委員長は理路整然とした若々しい38歳の共和党下院議員ギャラガーである。彼は元海兵隊情報将校でジョージタウン大学の国際関係の博士号を持っている。バイデンは中国との新たな冷戦を避けることを語っているが、ギャラガーは冷戦は既に進行中であり米国は勝つために行動を加速化せねばならないと論じている。

 ギャラガーは、最優先は台湾への売却が承認されているが未だ納品されていない180~190億ドルの兵器および装備の積み残しの問題だと言っている。彼は今年の国防授権法の内容を固めるのに間に合うよう最初の公聴会を開くことを欲している。また、彼はTikTokを禁止するか米国企業に売却させることを繰り返し要求している。

 これらすべて習近平にとっては我慢し難いであろう。しかし、最大のリスクの一つは、彼が、中国特別委員会が行うことの多くは政治劇であることを見逃し、過剰反応してしまうことだろう。

 他の大きなリスクは、委員会がアジア系市民に対する暴力に火を付けるという民主党その他の批判に、公聴会が説得性を与えることである。これに対し、ギャラガーは、海外の中国系市民を共産党から保護することを目的としていると言っている。

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 上記のエコノミスト誌の記事はいただけない。未だ活動を始めていない下院中国特別委員会について、これ程までに過剰に警戒感を表明する必要があるのか疑問である。

 この記事の見出しは中国特別委員会が米中関係に対する脅威だとしている。米中間の敵対的雰囲気が小休止にある時に、委員会が「彼(習近平)の政策と台湾を巡る緊張を警戒する西側ビジネスの心配を和らげようとする習近平の努力にとって問題を惹起する」可能性があるとして問題視しているのは奇怪である。


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