2024年4月29日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年3月15日

 ウクライナがEUに加盟した場合のことを想像すると、このウクライナは民主化したウクライナである。独立した司法なくして加盟はないことがこの論説でもいわれているが、法の支配や人権の尊重その他がなされるウクライナであろう。

 経済的には、奇跡的な高度成長をしていることになろう。いまEUで1人当たり国民所得が最低なのがブルガリアであるが、ウクライナの1人当たり国民所得は戦争開始前でブルガリアの半分である。ポーランドなどに出稼ぎに行くだけでも高い経済成長率を達成できる。それにウクライナ人は教育水準も高く有能で、クレプトクラシー(kleptocracy、腐敗した泥棒政治)でなくなれば、豊かになれることが目に見えている。

長期的にはロシアの変革をも促す

 ウクライナ人とロシア人はプーチンの言うように一つの民族ではないが、よく似た兄弟民族である。ウクライナが自由民主主義になり、経済的にも繁栄することを見ながら、ロシア人が何故自分達もウクイナのようになれないのかと考える可能性は高いと思われる。

 これがロシアの強権体制への脅威になり、ロシアの民主化につながりかねないと考えられる。プーチンが心の底で恐れていることはこれではないだろうか。

 歴史は時々とんでもない方向に動くことがあるので、この見通しが間違っていることになる可能性もある。今はとにかくウクライナ戦争の帰趨に注目すべきである。

   
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