2024年4月20日(土)

Wedge SPECIAL REPORT

2023年3月23日

Q「セイカツ費」とも揶揄される政務活動費は何に使われていますか。

 政務活動費とは、議員の調査研究やその他の活動に資するために必要な経費として、自治体から交付されるものです。00年に政務調査費として始まったこの制度は、12年の地方自治法改正によって政務活動費に変更になり、使途が拡大されました。議会活動に関する調査や資料の作成、議員・会派による広報活動だけでなく、補助金の要請のために国などに出向くための旅費などにも、政務活動費が使えるようになりました。

 自治体の福利厚生を高めるために政務活動費が使われることが、その自治体住民にとっては望ましいでしょう。そのため、各議員が、子育てや地域振興などについての先進事例とされる自治体へ出向いて話を聴いたり、あるいはそれらを紹介する書籍などを購入したりして学習することが求められます。そのうえで、議会の一般質問の場で、行政側に施策導入の可能性を尋ねるなどといった議会活動に結びつけることができれば、政務活動費が生きたものになったといえるでしょう。

 しかし実際には、議員もしくは会派の活動報告を載せた広報費として使われる政務活動費の額や割合が非常に大きいです(図)。議員にとっての3大目標は、「再選」・「昇進」・「政策」だといわれていて、副議長や議長に「昇進」するにも、何か「政策」を実現するためにも、まずは「再選」を繰り返し、議員としての存在の重みを増すことが必要です。そのため、各議員は、議会での「実績」を誇示し、次の選挙での得票先として住民に認識してもらえるよう、目にも鮮やかなホームページを作成したり、頻繁にチラシを刷って配布するなどして、広報活動に精を出す状態になってしまっています。

Q市区町村議会議員はまだしも、都道府県議会議員が一体何をしているかが分かりません。役割を教えてください。

 日本では、国、都道府県、市町村のそれぞれが、さまざまな行政機能を果たすべく、役割分担をしています。例えば、防衛や金融政策は国が担当する一方、警察業務は都道府県が、消防や上下水道の管理・運営業務は(東京23区のような特別区を除く)市町村が行うのが、一般的です。

 また、本来国が行うべきではあるものの、その業務のために国家公務員を雇ったり地方出先機関を置いたりすることが非効率なため、代わりに都道府県や市町村が処理する事務もあります。例えば、生活保護に関する業務は市が中心となって行いますし、旅券の交付は都道府県や一部の市町村が担当しています。他にも、介護保険サービスや国民健康保険の給付、市町村立学校の設置・運営など、さまざまな業務を市町村は行っています。そして、市町村議会の議員は、これら教育や福祉に関わること、あるいは地域の交通網など生活に影響することなどについて、行政側に要望を出したり、行政側から説明を受けたりします。

 他方で、一つの基礎自治体だけでは完結しない問題もあります。例えば、複数の自治体にまたがって敷設されている道路の拡張・延伸や、河川の管理・治山といった問題は、都道府県も関与して解決を図る必要があります。さらに、公立高校の多くを都道府県が管理していますし、先述の通り警察業務は都道府県の担当です。そのため、これら治安の維持や教育、県内の広域に関わるような問題などについて、都道府県議会の議員は質問を行ったり、あるいは工事請負契約に関する議案について審議したりすることになります。


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