2024年4月14日(日)

Wedge SPECIAL REPORT

2023年3月23日

Q中核市や一般市に比べ大きな権限を持つ政令指定都市から都道府県議会議員を選出する必要性はあるのでしょうか。

 横浜市や大阪市、名古屋市、札幌市、福岡市など、大規模な人口を持つ市は、道府県に代わって都市計画を担ったり、児童相談所を設置したりする権限を持ちます。そのような市のことを、政令指定都市(政令市)といい、全国に20市存在します。この他に、政令市ほどではありませんが、保健所を設置して独自に保健衛生業務などを行える中核市という仕組みもあり、全国に62市存在しています。これら政令市や中核市からも、他の市町村と同様に、都道府県議会議員が選出されますが、他の市町村に比べ、政令市や中核市単独で処理できる事務の種類は多くなるため、県議会議員としての意義は薄れてしまいます。

 とはいえ、都道府県議会では、原則として市や町村の区域に一致するよう選挙区が設定され、人口に比例して都道府県議会の議席が配分されるため、神奈川県や京都府、大阪府のように、政令市や中核市選出の県議会議員の割合が多くなってしまうところも存在します。そして、本来政令市や中核市以外の市町村域において県こそが解決すべき問題について、政令市・中核市選出の議員も加わって議論するという状況が生じてしまっています。

 この問題を解消するための方策として、例えば県と同格の特別市を設定し、警察業務など県が担っている全ての業務を特別市に担わせ、特別市選出の県議会議員をなくすということが考えられます。しかし、地方自治法の改正が必要であり、大幅な税収減に見舞われる県も強く反対するため、実現の見通しは立っていません。

Q海外の地方自治制度はどうなっていますか。

 日本では、市区町村で人口最多の横浜市(約376万人)でも、最少の東京都青ケ島村(約170人)でも、二元代表制を採用していて、その制度は戦後一貫して変化していません。しかし、海外に目を向ければ、多様であり変化を経験していることがわかります。ここでは米国を例に紹介します。

 大規模な都市では、日本の二元代表制と同様の制度を採っているところもあります。もっとも、市長を住民が選挙で選出するといっても、日本とは異なり、議会が行政に対して指揮監督権を持つ「弱市長制」になっているところもあります(日本のように市長が行政各部を監督する場合は「強市長制」といいます)。

 他方、小規模な自治体では、住民が議会の議員を選出し、その議会が市支配人(シティー・マネージャー)を任命し、行政運営を市支配人に任せるという、「議会─支配人制」を採用するところが多いです。このような自治体では、議会の役割は行政の方針を決定するにとどまり、一般的に議員報酬額も非常に限られます。さらに、直接公選で選ばれる理事が議事機関(議会)と執行機関(首長)を兼ねる「理事会型」を採るところもあります。

 任期についても、自治体によって異なります。議員の任期を連続2期までに限定するところもあれば、多選制限を課さないところもあるなど、さまざまです。議員定数についても、必ずしも人口が多いほど大きいということでもなく、人口が約270万人のシカゴ市議会には50人の議員がいる一方で、約380万人のロサンゼルス市議会の定数は15です。さらに、議会による任命職も、時代によって変更が加えられます。

Q4月の統一地方選挙で「投票したい」と思える候補者が見つかりません。どうすればいいでしょうか。

 冒頭で述べたように、地方議会は憲法上必置ですが、うまく生かしきれていないというのが現状ではないでしょうか。また、議員は自分たちと違う世界にいる人たちではないか、という印象を持つ読者も多いといえるのかもしれません。

 そうだとすると、自分が自治体に対して期待する政策を、自分に代わって実行に移してくれそうな「代理人」を選ぶという視点から、投票先となる議員候補者を選べばよいでしょう。先述したように、議員は多様な住民の声を「代表」する存在です。それは「地元」の利益であるかもしれませんし、同じ「職業」に就いた経験のある人でないとわからないものかもしれません。あるいは、「子育て中の親」として共通する立場にあったり、「障害者」施策について詳しかったり、といった形で、各々の住民が持つ属性なり願いなりを共有してくれる候補者を探し出し、その人に投票するというやり方もあるでしょう。

 もちろん、支持する政党の公認を得た候補者に投票する方法もあります。ただ、都道府県議会議員選挙や政令市議会議員選挙を除いて、十数人から何十人もの候補者が出馬する市議会議員選挙では、政党名だけで投票先を一人に絞ることは難しいですし、町村議会も含め無所属候補者も多いです。結局のところ、自分自身と実現したい政策(=「目的」)を共有する「代理人」を、上手に見つけ出すことができるかどうか、が重要ではないでしょうか。

 
 『Wedge』2023年4月号では、「地方議会ってホントにいるの?」を特集しております。全国の書店や駅売店、アマゾンでお買い求めいただけます。試し読みはこちら
 あなたはご存じだろうか。自分の住む地方議会の議員の顔を、名前を、どんな仕事をしているのかを─。住民の関心は高まらず、投票率の低下や議員のなり手不足は年々深刻化している。地方議会とは一体、誰のために、何のためにあるのか。4月に統一地方選挙を控える今だからこそ、その意義を再考したい。

   
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る