オーストラリアン紙のグレッグ・シェリダン外交問題編集員が、6月6日付同紙掲載の論説で、豪州における中国のサイバー脅威について警告するとともに、その事実を公にしようとしないギラード政権(当時)の対応を批判しています。
すなわち、過去6カ月の間に、米政府はサイバー問題を米中の優先課題に格上げした。最近、オバマ大統領は、知的財産権に対するサイバー窃盗は「米国が直面する最も深刻な経済的、国家安全保障の問題の一つである」としている。また、ヘーゲル国防長官は、シャングリラ対話の場において、米国に対してサイバー攻撃を仕掛けている、中国政府と軍部を非難した。
米英両政府は、この問題を公にすることで、自国民に対して、何が起きているのかを周知させているが、ギラード政権は、中国が主要な容疑者であることを指摘していない。カー外相は、中国は豪州にサイバー攻撃を仕掛けているか、と問われても、否定も肯定もしない立場をとり続けている。
しかし、中国が豪州に対するサイバー攻撃の主要者であることは疑いない。豪政府が、「ナショナル・ブロードバンド・ネットワーク」へのHuawei社の参入を禁止したのは、サイバー侵入の可能性を恐れたからである。
キャンベラとワシントンは、ANZUS同盟の枠組みでサイバーセキュリティへの取り組みを強化しており、それに関与している豪州の安全保障コミュニティのほぼ全てが、中国が主要な攻撃源であると認めているのに、豪政府だけが、それを認めようとしない。
米国のビジネス業界は、知的財産のサイバー窃盗によって大きな被害を受け、政府の行動を求めている。
米国は圧力を強めるであろうが、知的財産窃盗が実際に年間数千億ドルの利益を出していること、更には中国経済が減退していることなどを踏まえれば、中国がその行動を改めるとは思えない。