2023年10月4日(水)

都市vs地方 

2023年3月22日

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青山 佾 (あおやま・やすし)

明治大学名誉教授

1943年生まれ。67年東京都庁経済局に入庁。高齢福祉部長、計画部長、政策報道室理事を歴任。99~2003年に石原慎太郎知事のもとで副知事。専門は自治体政策、都市政策、危機管理、日本史人物伝。『東京都知事列伝 巨大自治体のトップは、何を創り、壊してきたのか』(2020年、時事通信出版局)、『世界の街角から東京を考える』(2014年、藤原書店)など。

 たとえば、高齢者福祉の分野において、特別養護老人ホームや療養型介護病棟、老人保険介護施設などは、ある程度広域的なバランスを考慮して整備すべきだが、ホームヘルプ、訪問医療、訪問看護、在宅サービスセンターなど在宅者に対するサービス網の整備は地域単位に行われ、サービスの提供も地域単位で行われる。そこでは、地域の特性に見合ったサービスが創出され実施されるべきだ。21世紀に入ってようやく日本の福祉システムも地域包括ケアシステムと称するようになった。

 地域包括ケアシステムは、高齢者が重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みを地域ごとに構築しようと政府が進めている政策である。

 今後、認知症高齢者の増加が見込まれることからも、地域包括ケアシステムの構築が重要とされている。介護保険の保険者である市区町村等が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要である。

 この政策によって各地域ごとに地域包括支援センターが設置される。これは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行う施設である。

第三の分権時代へ

 住民にとって最も身近で切実なシステムが基礎自治体よりさらに小さなコミュニティ単位で整備され実施されるようになっていく。一斉に高齢化が進む住宅団地でも地方の過疎地でも従来の地方自治制度では対応しきれない。

 家庭内の児童虐待に大都市の都道府県が設置する児童相談所では対応しきれなかった例もある。広域行政で水準をそろえる時代から地域特性による個別事例に対応する時代に対応すべき分野が存在するのである。

 このような変化を地方自治制度の専門用語では第三の分権という。第一の分権が国から都道府県への分権、第二の分権が都道府県から基礎自治体たる区市町村への分権であるが、これに対して第三の分権は、区市町村から地域への分権だ。

 これからは、このような地域単位の行政が増えていく。コミュニティ単位の自治行政制度を新たに整備することが必要だ。

 日本の地方自治制度も、明治以来の中央集権的なやり方で細部まで画一的に政府が規定するのをやめて、自治体ごと、地域ごとに、その特性に合わせてコミュニティの自治を認めることができるよう転換したらどうか。

 
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