2024年12月23日(月)

都市vs地方 

2023年2月13日

 先の選挙で当選した国会議員が外国に滞在を続け一度も登院しないので懲罰すべきだとして問題となっている。一方で、地方議会でオンラインによる審議をどこまで認めるべきかが議論となっている。

(Wallentine/gettyimages)

 一般社会で急速にオンラインによるコミュニケーションが普及してきたのだから、国会や地方議会でもオンラインを活用するのは当然だ。しかし登院できる状態なのにオンラインで審議に参加したいと言い張って一度も出てこない議員がいたり、地方議員のなり手が不足しているからオンライン審議を促進すべきだなど、一般の国民が支持しがたい理由でオンライン審議を主張する向きもあって議論が進まない。

 オンラインのメリットとデメリットをきちんと整理して、議会制民主主義を一層充実する方向で議論を進めるべきだ。

 オンライン審議のメリット 

 感染症にかかったが軽症であるなどという場合は、オンラインによる審議参加には大いにメリットがある。議員だけではなく、答弁する側や参考人で呼ばれた人だってオンラインならば対応できるケースはあり得る。

 何らかの障害を持っている人や介護・育児・病気その他の理由でオンラインならば審議に参加できる状況も考えられる。この場合は毎回オンライン参加ということになるだろうが、これが認められれば議員が多様化するというメリットもある。

 議員活動は本会議や委員会などで質問したり採決に参加することだけに限らない。社会や地域のさまざまな課題について調べたり人々の訴えを聞いたりして政策をまとめ上げることも重要な議員活動だ。

 国会議員の場合は1年のうちの大半を国会に拘束されて地元にはなかなか帰れないのが実態だから、一定程度はオンラインでこなすといった活動スタイルも考えられる。

 議案の説明や形式的な採決・議決はオンラインで行ない、議論やそれを踏まえた採決・議決は可能な限りリアルでといった区別もありうる。選挙区が全国に分散する国会議員に比べ地域が狭い自治体ではリアルを原則とするといった地域の実態に応じた使い分けもありうる。小規模自治体でもいくつもの離島で成り立っている場合はオンラインの活用が効果を発揮する。

 現代の政治不信の一因に国会議員の一部に庶民の生活感覚とかけ離れた言動をする人がしばしば出現して顰蹙(ひんしゅく)を買うことがあるとしたら、地元にいる期間を増やすことによって議員が民意を反映する度合いを増やすことに役立つかも知れない。週末ごとに地元に帰るという移動の時間とエネルギーを節約できるかもしれない。


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