2024年2月25日(日)

バイデンのアメリカ

2023年4月11日

 この判断は、以下のようなトランプ氏の過去の〝ネガティブ実績〟に裏付けられている:

・18年トランプ政権下の中間選挙で、共和党は下院において、ニクソン・ウォーターゲート事件直後の選挙以来、最悪となる40議席を民主党に奪われ、多数支配を明け渡す醜態をさらした

・トランプ氏は再選を狙った20年大統領選挙で、バイデン民主党候補に大敗した

・22年中間選挙においては、トランプ氏の擁立した共和党候補が各州で敗退、民主党に上院支配を明け渡しただけでなく、事前予想で50~60議席増の〝レッド・ウェ-ブ〟(共和党旋風)となるはずだった下院選挙においても、結果的に19議席増の辛勝に終わった

・大統領選の重要なカギとなるペンシルベニア、ジョージア、イリノイ、ウィスコンシン、ネバダなど各州における昨年の上院選で、トランプ氏の意を受け「2020年大統領選無効」をスローガンに掲げ立候補した極右共和党候補が軒並み敗退した

・トランプ氏在任中に、いずれも右派の意中の判事をあいついで送り込み「保守派多数」となった連邦最高裁が、女性たちの求めてきた人工妊娠中絶権を棄却したほか、環境保護運動に水をさす裁定を下すなど、全米の中道、リベラル派有権者の不満を募らせる原因となっており、共和党が来年大統領選で劣勢に立たされることが懸念され始めている

共和党支持者はトランプをお膳立てするのか

 こうした中、共和党支持層に大きな影響力を持つ保守系有力誌「National Review」は、4月8日付け最新号で、「トランプにはさらに危険な刑事事件が待ち受けており、2024年大統領選でのトランプ指名は大間違い The other looming cases against Trump pose a much bigger danger to him, and they make nominating him in 2024 a terrible idea」との見出しからなる以下のような辛辣な論調を掲載した:

 「2024年大統領選に向けて、屈強とはいえない不人気のバイデンを盟主に抱えた民主党にとって、最善の賭けは一貫して、トランプとの一戦だった。彼らはトランプ相手に、2020年上院選で多数支配を奪回、2022年中間選挙でも勝利した。その賭けは今も生きている。とにかく、来年選挙でトランプが共和党指名候補となれば、民主党が勝つことは明白だ」

 「トランプvsバイデン対決の想定質問で『トランプ優勢』を伝える世論調査結果がいくつも出ているが、騙されてはならない。民主党側もあえてそのことを吹聴し、われわれがトランプで(大統領選を)勝てると信じ込ませようとしている。だが、彼では勝算はない。これまで、熱烈なトランプ支持層の存在ばかりが強調されてきたが、全米レベルで見た場合のトランプ支持率は就任期間中も低調に推移し、平均して40%半ば以下にとどまった。退任時までには34%にまで滑り落ちた。2016年選挙でも、わずか46%の得票総数だったにもかかわらず当選できたのは、統計上のミラクルだった。その後の2020年選挙転覆工作、連邦議事堂乱入・占拠事件、そして相も変わらずバイデン当選否認と選挙を奪取されたとする被害妄想の言動が世間を賑わせ続けており、来年11月本選で彼が再び勝利することなどまったくありえないことだ」

 「加えて、トランプの前には、刑事事件がつぎつぎに立ちはだかっている。先のニューヨーク州における不倫もみ消し関連の正式起訴に続き、ワシントンでは司法省のジャック・スミス特別検察官が国家機密文書不法持ち出し・保管疑惑で着々と容疑固めに乗り出す一方、ジョージア州フルトン郡のファニ・ウィリス検察官による2020年大統領選挙結果転覆工作事件捜査が大詰めを迎えている。これら一連の民主党派検察による捜査が結託しておこなわれているかどうかは、知る由もないが、ジョージア州案件では、「トランプ起訴」の公算が大きい。ワシントンの捜査でもトランプの立場はますます不利になりつつある」

 「これらの訴追事件を通じ、トランプが最終的に有罪判決を受けるかどうかは別としても、今後、今年後半から来年にかけて、トランプの法廷関連ニュースが全米でもちきりとなり、彼も無罪訴えとその準備のために多大な時間と労力を割かざるをえなくなる。そして、こうした法的災厄の蓄積が、結局は彼を沈没させることになりかねない。問題はその際、わが党を道連れにするかどうかどうかだ。……果たして、われわれ共和党支持者たちは、民主党側が勝てると確信するトランプの指名獲得をあえてお膳立てすることを、みすみす許すことになるのだろうか」

 おそらく、このような嘆きにも近いトランプ氏をめぐる論調は、共和党本流の深刻な悩みを率直に反映したものだろう。

 「トランプ起訴」は、党内結束を促すどころか、実際は分裂を加速させつつある。

   
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