一部のジプニーオーナーとドライバーたちがストライキで抗議したため、従来型ジプニーの廃車とミニバスへの移行の期限は、それまでの今年6月30日から12月末まで延期された。
ジプニーオーナーとドライバーの団体「PISTON」は、政府が安全性やエコ・快適さを保障するために要求する車体サイズや屋根の高さ、窓、乗降ドアの位置、エンジンの種類などをクリアしたうえで伝統的スタイルを保持した、新型ジプニーのプロトタイプを製作、提案している。 PISTONの書記長、ルベン・バイロン(63歳)は「政府の条件を満たす車両が生産できるなら、もともとジプニーの車両を作ってきた地元の工場や労働者の技術を活かして地場産業を発展させるのが、政府が本来取るべき政策だろう」と話す。
地元で作るものは一台80万〜130万ペソ程度と、外国メーカーの車両の半額以下と見込まれている。
交通近代化のための外資活用
政府は、海外からの投資や提案を活用しながら首都圏の再開発と交通網の近代化を推進している。首都圏の公共交通機関の近代化と交通渋滞緩和のために、円借款で地下鉄の建設工事を実施。清水建設を代表企業とする企業共同体が請け負う。2022年には、国際協力機構(JICA)がフィリピン政府機関に対し、道路を走る公共交通機関により積極的に介入し、その安全、安心、利便性、快適性を向上させることを提言している。
22年3月、公共サービス法の改正が行われ、フィリピン人もしくはフィリピン人が60%以上出資する企業だけに「公益事業」の運営・管理業務への参入を認めていたものが、通信、鉄道、高速道路、空港、運送については、外国資本による100%の投資が可能になった。外資参入が期待できる分野で上限を撤廃することにより経済活性化へとつなげる狙いがあるとみられる(日本貿易振興機構(Jetro)HP)。
ジプニーのような公共交通車両への投資については、外国資本は40%以下に制限されているものの、外国メーカーの車両の導入を優先した形だ。合弁企業を優遇しつつ、特に巨額な投資を必要とするインフラ分野に海外からの投資を呼び込むことが、政権の関心事だと思われる。