2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年4月24日

 ノルウェーの元外交官で中国専門家のベッケボルドが、3月21日の習近平のロシア訪問での中国のウクライナ和平提案について、グローバルサウス(南半球を中心とした途上国)、欧州および戦後のウクライナとの関係で中国の立場を強化するという隠された意図があると米国外交専門メディア「フォーリン・ポリシー」で論じている(4月4日付け‘China’s ‘Peace Plan’ for Ukraine Isn’t About Peace’)。要旨は次の通り。

 中国の12項目のウクライナ和平提案は戦争を終わらせるロードマップとしては抽象的過ぎる。むしろ、米国に対抗するための外交上の情報発信として見るべきだ。中国は、特にグローバルサウス、欧州および戦後のウクライナの3者との関係で立場を強化することを狙っている。

(BeritK/iZhenya/gettyimages)

 第一に、中国はグローバルサウスに対して、将来の平和の担い手として自らを提示する目的がある。中国は、グローバルサウスの多くの国が、ウクライナ戦争を西側とは違った解釈をしており、ロシア寄りで早期の交渉による戦争終結を望んでいることを知っている。

 第二に、中国の和平提案は、欧州との関係をリセットしようとする試みの一部である。中国は、米国の経済的なデカップリングと安全保障上の対抗関係への政策転換を永続的なものと考えているが、ロシアが最大の課題である欧州については、米中関係において完全に中立となる見込みはないとしても、「単に米国の路線に従うことだけが、唯一の選択肢ではない」とリマインドし続けるであろう。

 欧州の指導者は、習近平がプーチンに戦争を止めさせる上で何ができるのか、また何をする気があるのか、現実的に理解することが必要である。一部の欧州国政府は、北京をモスクワから引き離すことができると考えているかもしれないが、それは、あり得ないシナリオである。

 第三に、中国の和平提案は、戦後のウクライナの復興において自らを位置付ける努力の一環であり、中国は、ウクライナ復興を支援し役割を果たす用意があると明言している。中国にとっては、ウクライナ復興支援は、欧州全体に対する中国の関与を強化するものとなろう。

 結局のところ、中国がウクライナ戦争に平和的な解決をもたらす能力は限られている。しかし、中国の和平提案が戦争終結に役に立たないとしても、中国が失うものはない。逆に、中国は、西側とグローバルサウスの間に楔を打つことができる。そして、戦後の復興支援への関与を含むこの提案が欧州との関係を改善するのに資するのであれば、極めて大きな成果だと言えるであろう。

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 この論説は、中国のウクライナ和平提案を中国の外交政策全体の中で位置付けており、また、ウクライナ問題および中国に対する欧州の見方を代表するものとして参考となる。


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