2024年11月22日(金)

バイデンのアメリカ

2023年5月9日

共和党の指名争いの行方は

 来年大統領選に向けた共和党候補についてはこれまで、トランプ氏のほか、ニッキー・ヘイリー元国連大使、エイサ・ハッチンソン元アーカンソー州知事がすでに名乗りを挙げている。さらに数カ月中に、マイク・ペンス前副大統領、ロン・デサンティス・フロリダ州知事らが正式に出馬表明すると予想されている。

 このうち、トランプ氏が共和党指名獲得レースで最大の競争相手として警戒するのが、デサンティス氏の存在だ。

 今のところ、「トランプ対デサンティス」の対決を前提に米各世論調査機関が実施した最近の共和党支持層意識調査では、いずれもトランプ氏が10数パーセント差でデサンティス氏を引き離している。

 しかしだからといって、このままトランプ氏が優位を保ったまま、来年夏の党大会に臨み、最終的に共和党指名候補となることが確約されているわけでは決してない。むしろ、今後にいくつもの不確定要因が立ちはだかっている。

 当面、最大の関心事は、同氏をめぐる今後の複数の刑事訴追案件の展開だ。

 まず、ジョージア州フルトン郡検察局は、20年大統領選結果について、州務長官らに圧力をかけ、同州の有権者投票総数のうち、トランプ票を実際より〝上増し〟させようとした疑いでトランプ氏を対象とした捜査に精力的に乗り出している。

 すでに、大陪審に州当局関係者多数を証人喚問、訴追に向けた重要証拠固めが終わっているといわれ、早ければ「数カ月中」にも、トランプ氏正式起訴についての最終判断を下す公算が高まっている。

 連邦政府レベルでは、司法省ジャック・スミス特別検察官が、トランプ氏による国家秘密文書不法持ち出し・隠匿疑惑について捜査中だ。

 去る4日付けニューヨーク・タイムズ紙報道によると、捜査当局はごく最近、トランプ氏が居を構えるフロリダ州邸宅で個人的に仕えてきた「ある重要な事情通」の協力をとりつけ、昨年、連邦捜査局(FBI)が家宅強制捜査に乗り出した際に、トランプ氏個人が事前に隠匿を指示したかどうかについて、有力な証言を得た。

 この人物は、広大な邸内の具体的な「隠匿場所」などについても詳しく説明したという。

世論調査では、トランプリードだが……

 スミス特別検察官はさらに別件で、トランプ氏が、狂信的トランプ主義者グループによる連邦議事堂乱入・占拠事件を教唆した疑いについても、大規模な捜査を進めている。

 同事件については、すでに下院特別調査委員会が1年近くに及ぶ真相究明のための公開、非公開聴聞会審議を経た結果として、「起訴相当」との判断をくだし、司法省に特別検察官による刑事捜査を勧告していた。

 これら上記3件の刑事案件については、いずれも捜査上「かなりの進展」が米有力メディアで報じられており、最終決着に向けた今後の展開に並々ならぬ関心が集まっている。

 このほか、トランプ氏についてはすでに先月、ニューヨーク・マンハッタン地区検察局が、元ポルノ女優との不倫もみ消し疑惑に関連して、「正式起訴」を発表。今夏までには、州法廷での公判がスタートする予定だ。


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