外国人技能実習制度が廃止される─。今年4月中旬、新聞やテレビがそんなニュースを大きく報じた。同制度の見直しを検討してきた政府の有識者会議が、技能実習を廃止し、新制度をつくるよう求める中間報告をまとめたからだ。今秋には最終報告が示され、来年の通常国会に政府が新制度創設に向けた法案を提出する見通しとなっている。
実習制度を利用し日本で働く外国人は、2022年末時点で32万4940人を数える。制度創設から丸30年を経て、今や実習生は人手不足の職種で欠かせない労働力だが、さまざまな問題も指摘されてきた。
「技能移転」「人材育成」を通じた発展途上国への国際貢献という制度の趣旨はすっかり建前と化し、実際は日本人が嫌がる肉体労働に低賃金の外国人労働者を供給するために使われている。実習生には就労先を変える「転籍」の自由がなく、職場で暴行を受けるような人権侵害も後を絶たない。また、毎年数千人に上る実習生が職場から失踪するありさまだ。そうした制度が〝廃止〟されるとあって、大手メディアの論調は概して好意的だった。しかし、実習生の受け入れ現場には、メディアに載らない声もある。
「中間報告には、相変わらず嘘とごまかしの言葉が並んでいる。本質的な問題も無視されたままだ」(実習生を就労先に斡旋する「監理団体」幹部)
何が「嘘とごまかし」なのか。そして実習生をめぐる「本質的な問題」とは何なのか。