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田部康喜のTV読本

2023年5月20日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 サチ(清野)は自分で小旅行に申し込んだのではなかった。母の邦子(和久井)がたまたま申し込んで参加者に当選したのだが、車いすではバス旅行にはひとりでは参加できないので、サチに勧めたのだ。

 3人の人生の大きな転機が訪れる。小旅行を終えて、すっかり仲良くなった3人だった。別れ際に連絡先を交換しようと誘う翔子(岸井)と若葉(生見)に対して、人とのかかわりをできるだけ避けているサチ(清野)は断った。

翔子が提案して、宝くじを3枚買って、それぞれが1枚ずつ持ち帰ることにしていた。当選したら、3等分する約束もした。

 サチに配られた宝くじが1等の3000万円に当選したのである。2人の連絡先が分からないサチがとった行動は、ラジオ番組の1泊2日の小旅行に2人がまた参加することにかけることだった。

 出発したバスの前に立ちはだかって、サチはバスを止めて特別に小旅行に参加させてもらうことができた。旅行中にサチは2人に1等3000万円に当選したことを告げる。共同購入した形なので、銀行の宝くじ部門に3人で行って、それぞれが通帳を作り、1週間ほどで1000万円ずつが振り込まれるようになった。

1000万円を手にしても……

 これをきっかとして、3人の家庭の事情が明らかになっていく。

 当選したお金が振り込まれてから若葉(生見)は、祖母の樋口富士子(宮本信子)に初めてその事実を打ち明ける。どうしてそのことをだまっていたのか、いぶかしがる富士子(宮本)に若葉はいう。

 「おばあちゃんとUSJに行こうとして貯金をしたり、大学を受験しようと思って貯金をしたりすると、あの人がやってきてすべてをもっていってしまう」

 あの人とは、母親のまどか(矢田亜希子)である。そして、宝くじの賞金のうち若葉分の1000万円が通帳に振り込まれた直後、「あの人」はやってきた。

「カネを出せ!」というのである。若葉は祖母の富士子が止めたにもかかわらず、まどか(矢田)に通帳を手渡した。

 翔子(岸井)は、小物を買って自宅に帰ってみてみれば「なんてつまんないモノを買っちゃった」。高校時代の同級生から美顔用品を購入するが、歩道で転んでしまい機器が入った箱が歩行者に踏みつぶされる。


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