2023年6月1日(木)

田部康喜のTV読本

2023年5月13日

»著者プロフィール
著者
閉じる

田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 「Dr.チョコレート」(日本テレビ、毎週土曜よる10時)は、天才子役・白山乃愛(しろやま・のあ)が10歳でありながら、難手術をこなしていく奇想天外なミステリーである。

(Yaroslav Litun/Chansom Pantip/NATALIA MARNA/gettyimages)

 ドラマにもジャンルがある。刑事モノ、検察モノ、恋愛モノ……「Dr.」はどのジャンルにも属さないサスペンスの傑作である。

 主役の白山は、第9回「東宝シンデレラオーディション」(2022年)に最年少の10歳でグランプリを獲得したばかりである。

際立つキャラの医療チーム

 天才外科医・寺島唯(白山)の相棒であり、難手術を請け負う唯が「Teacher」と呼ぶ右腕が義手の元外科医・野田哲也役に坂口健太郎。野田が集めた超優秀ながら秘められた過去を持つエキスパートの「チョコレートカンパニー」が唯の手術を支える。チーム6人のメンバーはそれぞれニックネームで呼ばれる。

 シンデレラオーディションの先輩である斉藤由貴が、「うなぎ」と呼ばれる手術看護婦のチーフでかつ、チームのまとめ役を務める。ギャンブル狂で借金の末に離婚した麻酔医・「残高」役に小澤征悦、お笑い芸人を目指している「お笑い」こと放射線技師役に前田旺志郎…チームのメンバーの絡み合いが、サスペンスにコミカルな隠し味になっている。

 「Dr.チョコレート」の手術は主治医が10歳ということで、明らかに医師法違反である。唯の父親は著名な心臓外科医だった寺島光一(山本耕史)。こどものころから、タブレットで手術について、シミュレーションで学んできた。

 唯の両親は爆発を装って、2年前に殺された。生き残ったのは唯とたまたま家を訪ねてきていた野田(健太郎)だった。2人で逃げる途中で野田の右腕のけがから敗血症になるのを恐れた唯が、野田の腕を切断した。唯にとって、これが初めての実地の手術だった。

 両親を殺した黒幕の存在を意識して、唯と野田はふたりでシンガポールに逃れた。そこで「闇医者」稼業を始めた。


新着記事

»もっと見る