唯が天才外科医であることを知られないように、手術の依頼を受ける条件は3つ。手術代は1億円、秘密保持契約、そして唯のためのチョコレートである。チョコレートカンパニーのメンバーそれぞれには、手術の成功直後に1000万円ずつが配られる。野田が残金をなぜ残して、何に使おうとしているのか、この謎もドラマの進展とともに明らかになっていくのだろう。
医療ドラマとともに展開されるミステリー
ドラマのサスペンスの側面を補強している役割を担っているのが、Dr.チョコレートの正体を追っている新聞記者・奥泉渚(西野七瀬)である。野田と情報交換するなかで、Dr.チョコレートに絡む事件の情報をもたらす。
ドラマの手術は毎回完結するが、手術を受ける人物の背景にいる組織が絡み合って、唯と野田は、唯の両親殺害の犯人に迫っていく。手術が成功したあとに、唯がチョコレートを「おいしい」と食べるシーンがお約束である。しかも、それぞれのチョコレートは実在のモノで、ネットではメーカーと製品名で盛り上がっている。
チョコレートカンパニーのメンバーも、手術の依頼人も執刀医が唯と知ると驚くと同時に不安に襲われる。しかし、1回ごとに難手術を成功するたびに、メンバーの唯に対する信頼が増してくる。
第1話(4月22日)は、冒頭から唯の天才外科医ぶりを見せる。シンガポールから日本行きの航空機のなかで、機長が意識を失って医師の存在を呼びかけるアナウンスがある。唯と野田はコックピットにかけつけて、機長がナッツによるアナフィラキシーショックで気道が閉塞している診断をくだす。機内の酸素マスクとワインオープナーを使って気道を確保して機長の命を救う。
日本に戻って最初に引き受けた手術は、民自党総裁選に出馬することが決まっていた大物政治家が脳内出血で倒れたのを救った。新聞記者の奥泉(西野)から、この大物政治家が唯の一家を襲った爆発事故の黒幕ではないか、という情報がもたらされる。
手術によって、政治家を救うか、このまま死んでもらうか、一瞬唯は迷う。野田は「君のお父さんだったらどうする?」と問いかける。