2024年11月22日(金)

田部康喜のTV読本

2023年5月13日

 唯は依頼者から子どもであることを驚かれると「年齢なんてただの数字」と反論する。手術に取りかかるときには、「命はひとつ。誰にも平等にね」とチョコレートカンパニーのメンバーと自分に言い聞かせる。

 大物政治家はその後、自殺を装って殺され、依頼者の息子も失踪してしまう。

これまでの医療ドラマと異なる要素

 第2話(4月29日)では、記者の奥泉(西野)から黒幕として暴力団の「百瀬組」がかかわっているのはないか、という疑惑が野田に伝えられる。ところが、難手術を依頼してきたのは百瀬組の組長である、百瀬杏樹(恒松祐里)だった。百瀬組が銃撃戦を展開するさなかで、唯は杏樹の難しいガンの手術を成功させた。

 ドラマに緊迫感を与えているのは、これまでの医療モノや天才医師モノとは異なって、手術の現場がオペ室に限らないことである。しかも、手術に使う機器も手作りという仕掛けもある。

 第3話(5月6日)に至って、テレビ局でアイドルが倒れた。たまたま、チョコレートカンパニーのメンバーのひとりである「お笑い」が番組の前座を務めるのを見に行っていた唯は、病院に運ぶ時間はなく、テレビ局の一室で手術を始める。野田(健太郎)が黒幕を追っているので不在のために、「うなぎ」と呼ばれる手術看護婦チーフ(斎藤)が「わたしが医師です。すぐに手術を始めます」と、アイドルのマネジャーに告げる。

 アイドルに施された手術は、頭蓋骨にドリルで穴をあけて脳を圧迫していた髄液を外に出すものだった。髄液を吸い出すのに部屋においてあったストロー、それを受けるのにプラスティックのカップが使われた。この間にアイドルが痙攣を引き起こす。唯の判断はこうだった。

 「そうか、あまり多くの髄液を外に出したせいだ。少し戻そう!」

 手術は成功した。

 最新刊の『子役のテレビ史 早熟と無垢と光と影』(太田省一、星海社新書)が次のように述べている。

 「いまや子役は…子役のままで終わらず、演技面においても、またタレントとしても、『子役』の領域を越えた活躍を見せるようになった。大人の俳優やタレントのお株を奪うような存在になっている」

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