2024年12月23日(月)

田部康喜のTV読本

2022年2月10日

 「恋せぬふたり」(NHKよるドラ・毎週月曜午後10時45分、第1回から第4回までのイッキ見再放送:2月19日午前0時01分から)は、ラブコメディーの傑作。同時に、今シリーズの最高傑作である。

(triocean/gettyimages)

 他者に恋愛感情を抱かない「アロマンティック」かつ、他者に性的に惹かれない「アセクシュアル」なふたりの男女が、男性の自宅に一緒に住んで「家族」(ドラマのなかでは、家族⦅仮⦆と呼び合う)となろうとする。

ブログを見て、「直観」

 スーパーの本社営業戦略課に勤める、兒玉咲子(こだま・さくこ、岸井ゆきの)は、過去に男友達から「つき合おう」といわれて、キスを迫られた瞬間に身をかわして、恋人同士にはなれなかった。

 同じ会社のマーケティング課に所属する、松岡一(まつおか・かず、濱正悟)と、推しのアイドルや食べ物の指向がぴったり合ったことから、つき合うことになった。松岡の部屋で一度は関係を結ぶが、愛というには感情がしっくりとこない。それ以来、咲子(岸井)は松岡とは終わったと思っていた。

 そんなとき、咲子は「羽色キャベツのアロマ日記」というブログを発見して、熱心な読者になる。スーパーの店舗の野菜売り場で働いている、高橋羽(たかはし・さとる、高橋一生)が、野菜の色や形によって、美しい売り場にしているのを観て、そのブログの筆者が高橋ではないか、と直感する。

 高橋のブログを読んでから、咲子は自分が「アロマンティック」「アセクシュアル」であることにきづいた。ブログの筆者である、高橋もまた同様であることは、容易に想像できた。

 咲子は高橋に対して、ブログの筆者であることを確認したうえで、「わたしたち一緒に暮らしませんか?」と誘った。高橋は一瞬躊躇したが、消極的な理由で同意した。


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