2024年6月22日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年5月29日

 5月5日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙は「台湾と中国との貿易戦争は米国の利益たりえる」と題する記事を掲載し、中国が台湾に広範な貿易障壁「調査」を導入したことを受け、台湾は貿易先の多様化を図っており、米国にとっては投資誘致の機会だと指摘している。

(XtockImages/gettyimages)

 台湾政府は、中国との経済関係の緊張に備え、財界に米国他への投資を勧めている。台湾企業は中国の広範な貿易調査に晒されている。調査対象は農産物、金属、鉱物など2500項目に及ぶ。この調査は対中貿易を妨げる恐れがある。

 台湾企業は他の貿易相手を探しており、米国の機会になり得る。これは米国の台湾からの投資誘致とも呼応している。2022年の半導体法は、台湾半導体企業の米国での活動拡大などを通じ米国内の半導体生産を増やすことが目的だ。世界最大の先進半導体企業、台湾積体電路製造(TSMC)は米アリゾナ州フェニックスに工場を建設中で、無償支援や税優遇措置で米国政府から150億ドルの支援を得ようとしている。米国は、TSMCに続き米国参入を検討中の部品供給会社にも追加的支援を行うべきで、多くの企業は移転費用が高すぎると言う。また、米台間には包括的租税条約がなく、台湾企業は所得税二重払いを余儀なくされ、他の税目も高税率だと感じている。

 中国による貿易調査は、中国が外国企業への圧力を増す中で始まった。最近中国当局は、上海の米国コンサルタント会社社員を尋問したり、日本の製薬会社社員を拘束したりした。台湾は、訪中市民に対し、中国反スパイ法改正に鑑み、安全への注意を要請した。

 中国による措置は政治的意図に基づくとされる。ペロシ米下院議長訪台後に、中国は台湾からの魚類と農産品の輸入を禁止した。今回の調査は蔡英文総統訪米と米下院議長との会談後に発表された。中国は、調査は6カ月の予定だが、3カ月延長し来年1月12日までになる可能性があるとする。それは総統選挙の前日だ。

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 上記は、中国が台湾に課している貿易制限的措置が、台湾の輸出・対外投資の多角化を促し、米国もそれによる恩恵を受ける可能性があるとの記事だ。      


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