2024年4月29日(月)

田部康喜のTV読本

2023年6月9日

 ボランティアをするうちに、潤一は生き生きとした表情になる。

 家族会議となって、潤一は「家を出て一人暮らしをする」と宣言する。「僕がいたんじゃあ、深雪さんも再婚できないし、(妹の)衿子も大学生になったら一人暮らしをしたいといっていたし」

 「老人ホームでじいさん、ばあさんをみていて、この人たちには勝てるな、と思ったんだ。コンプレックスなしに」

 ミナレはあわてる「それって年寄り相手の犯罪者になるってこと?」

 潤一は答える。「刑務所の刑務官。老人ホームでムショ帰りの老人にもあったし」

ネット社会でも続くラジオメディアの強さ

 番組を視聴したチーフディレクターの麻藤(北村)は、ミナレにいう。

 「ラジオのパーソナリティの役割って、リスナーの相談にちょっと親身になって、それがその人の人生を変えるんだよ」

 「4マス(メディア)」といわれた時代がある。インターネットが大きく普及する前のことだ。テレビ、新聞、雑誌、ラジオである。ラジオの広告費はしぶとく前年並みをキープしている。首都圏でこの瞬間に100万人が聞いているといわれる。タクシーであり、ガソリンスタンドであり、小売店の店頭であり…

 「波よ聞いてくれ」の「波」はいうまでもなく、ラジオの電波である。最終回のミナレとシーズン2を期待しながら大きな波を待ちたい。

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