ボランティアをするうちに、潤一は生き生きとした表情になる。
家族会議となって、潤一は「家を出て一人暮らしをする」と宣言する。「僕がいたんじゃあ、深雪さんも再婚できないし、(妹の)衿子も大学生になったら一人暮らしをしたいといっていたし」
「老人ホームでじいさん、ばあさんをみていて、この人たちには勝てるな、と思ったんだ。コンプレックスなしに」
ミナレはあわてる「それって年寄り相手の犯罪者になるってこと?」
潤一は答える。「刑務所の刑務官。老人ホームでムショ帰りの老人にもあったし」
ネット社会でも続くラジオメディアの強さ
番組を視聴したチーフディレクターの麻藤(北村)は、ミナレにいう。
「ラジオのパーソナリティの役割って、リスナーの相談にちょっと親身になって、それがその人の人生を変えるんだよ」
「4マス(メディア)」といわれた時代がある。インターネットが大きく普及する前のことだ。テレビ、新聞、雑誌、ラジオである。ラジオの広告費はしぶとく前年並みをキープしている。首都圏でこの瞬間に100万人が聞いているといわれる。タクシーであり、ガソリンスタンドであり、小売店の店頭であり…
「波よ聞いてくれ」の「波」はいうまでもなく、ラジオの電波である。最終回のミナレとシーズン2を期待しながら大きな波を待ちたい。
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