2024年11月27日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年7月31日

 ロシアによるウクライナの穀物輸出の停止につき、米ウォールストリート・ジャーナル紙は「ロシアの穀物合意のゆすりに対抗。もしプーチンが封鎖を課すならば、海軍護衛作戦が必要になるかもしれない」とする社説を7月18日付で掲載している。その要旨、次の通り。

(Iryna Mylinska/gettyimages)

 プーチンは制裁の緩和を欲し、世界的な食糧供給を再び脅威にさらしている。7月17日、ロシアはウクライナの穀物輸出を可能にしていた黒海穀物合意から脱退した。翌日にはプーチンはウクライナの穀物輸出港、オデーサにミサイル攻撃を行った。

 戦争前にはウクライナの農場は世界食糧計画によると全世界で約4億人に食糧を提供していた。昨夏、トルコと国連が仲介した黒海穀物合意は小麦、トウモロコシなど約3200万トンが戦争にも関わらずウクライナの港から輸送されるのを可能にした。

 この合意は45カ国がウクライナの穀物を引き続き受け取れることを意味した。これらはトルコ、エジプト、チュニジアのように食糧インフレで苦しむ国、アフガン、ソマリア、スーダン、イエメンのように食糧不足に直面する国を含んでいた。国連は、黒海穀物合意は2022年3月以来、「食料価格を23%以上減らすことを助けた」と推計している。ウクライナはいくらかの輸出のために陸上ルートを使えるが、海運が可能にする量には及ばない。

 この脆弱性にクレムリンは政治的な梃子を見出している。プーチンは、構想は「すべて一方的」で、「ロシアの要求を満たすことは何一つ行われていない」と主張した。

 7月17日、ウクライナのゼレンスキー大統領は「われわれは恐れない。ロシアなしでもわれわれがこの黒海回廊を使えるように全てのことがなされなければならない」と言った。彼は西側の支持に値する。

 ロシアが昨秋、穀物合意への参加を停止した時、ウクライナ、トルコ、国連は輸送計画を進めた。クレムリンは合意に再参加して終わったが、クレムリンの脅しを再び無視する価値がある。

 ロシアは国営ロシア農業銀行が国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済網に復帰することを望んでいる。しかし、これは制裁に大きな穴をあけることになる。それ以上にプーチンは世界の食糧供給を人質にすることが有効であると学ぶだろう。

 プーチンが食料封鎖に軍事力を使うならば彼は大きなリスクを冒すことになろう。米国と世界は彼がそうするのであれば、結果は黒海での海軍護衛作戦になることを知らしめるべきである。

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 ウクライナからの穀物輸出がロシアにより停止されることになりそうであるが、これは世界の多くの国々での穀物価格の高騰につながり、食糧不足をもたらすことになるだろう。この危機は避けられるべきで、そのためにはウクライナの穀物運搬船に海軍エスコートをつけるべきであるとする、上記の社説の主張は理解できるものである。


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