2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2023年8月11日

「日本版ダヴィンチ」も
遠隔操作できる

 「年次総会を初めてリアルで開催できて本当にうれしい」。4月、大阪でIOWNの国際推進組織「IOWNグローバルフォーラム」の年次総会が開かれ、会長を務める川添雄彦NTT技術戦略担当副社長はこう挨拶した。

 フォーラムはNTTの呼びかけに米インテルやソニーグループなどが応え、20年1月にスタートした。フィンランドのノキアやフランスのオレンジなど世界の有力企業約120社が参加しており、富士通やNEC、トヨタ自動車などに加え、クアルコムやエヌビディアなど米国の有力半導体メーカーも名を連ねる。3月にはNTTとライバル関係にあるKDDIもフォーラムの中核メンバーに加わった。

 NTTは総会に先立ち、3月には商用サービス第1弾「IOWN1.0」を発表、「APN(オールフォトニクス・ネットワーク)」と名付けた高速で超低遅延の通信技術を投入した。「日本版ダヴィンチ」とも呼ばれる手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」を120キロメートル離れた場所から遠隔操作するなど、さまざまな実証事例を紹介している。

 APNの早期導入が期待されるのがデータセンター間の接続だ。グーグルやAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)などのデータセンターと地域のデータセンターをAPNでつなげば、ひとつのデータセンターのように運用できるようになる。土地や電力供給などの問題から都市部では大規模なデータセンターの設置が難しいが、遅延のないIOWNを使えばデータセンターの地方分散化が可能になる。

 遅延がなくなり、通信ネットワークの信頼性が高まれば、ドローンやロボット、自動車などの自動運転も正確に制御できるようになる。昨今の深刻な人手不足を受け、建設機械や農業機械などの自動運転や遠隔操縦にも期待が高まっており、IOWNは企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)だけでなく、社会変革を促す重要インフラになると予想されている。

(続きは下記リンク先より)

全文は『Wedge』2023年8月号に掲載されております。雑誌はアマゾン楽天ブックスでもご購入いただくことができます。試し読みはこちら
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Wedge 2023年8月号より
日本の少子化対策
日本の少子化対策

結婚・出産を望まないのは、若者・子育て世代のワガママであり、自分たちが選んでいること―。こう思う人がいるかもしれない。だが、経済情勢から雇用環境、価値観に至るまで、彼らを取り巻く「すべて」が、かつての時代と異なっている。少子化を反転させるため、岸田政権は異次元の少子化対策として経済支援の拡充を掲げるが、金額だけ次元の異なる政策を行っていても、少子化問題の解決にはつながらないだろう。もっと手前の段階でやるべきことがある。それは、若者や子育て世代の「本音」に耳を傾けることだ。


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