「日本版ダヴィンチ」も
遠隔操作できる
「年次総会を初めてリアルで開催できて本当にうれしい」。4月、大阪でIOWNの国際推進組織「IOWNグローバルフォーラム」の年次総会が開かれ、会長を務める川添雄彦NTT技術戦略担当副社長はこう挨拶した。
フォーラムはNTTの呼びかけに米インテルやソニーグループなどが応え、20年1月にスタートした。フィンランドのノキアやフランスのオレンジなど世界の有力企業約120社が参加しており、富士通やNEC、トヨタ自動車などに加え、クアルコムやエヌビディアなど米国の有力半導体メーカーも名を連ねる。3月にはNTTとライバル関係にあるKDDIもフォーラムの中核メンバーに加わった。
NTTは総会に先立ち、3月には商用サービス第1弾「IOWN1.0」を発表、「APN(オールフォトニクス・ネットワーク)」と名付けた高速で超低遅延の通信技術を投入した。「日本版ダヴィンチ」とも呼ばれる手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」を120キロメートル離れた場所から遠隔操作するなど、さまざまな実証事例を紹介している。
APNの早期導入が期待されるのがデータセンター間の接続だ。グーグルやAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)などのデータセンターと地域のデータセンターをAPNでつなげば、ひとつのデータセンターのように運用できるようになる。土地や電力供給などの問題から都市部では大規模なデータセンターの設置が難しいが、遅延のないIOWNを使えばデータセンターの地方分散化が可能になる。
遅延がなくなり、通信ネットワークの信頼性が高まれば、ドローンやロボット、自動車などの自動運転も正確に制御できるようになる。昨今の深刻な人手不足を受け、建設機械や農業機械などの自動運転や遠隔操縦にも期待が高まっており、IOWNは企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)だけでなく、社会変革を促す重要インフラになると予想されている。
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