もし、本当に正確な視点から、精査され公表された科学的事実を見るならば、生産効率の点で原子力が風力の次に安全なエネルギー生産方式であることに気がつくはずです。また、放射性廃棄物の問題についても、むしろ単純な技術的解決方法があり、我々が既に、構造上、物理的にメルトダウンが不可能な、先進的な原子炉の設計手法を知っていることもわかるでしょう。
私は日本の人々に、世界最高の、最新鋭の原子炉─ゆるぎない安全性を備え、モジュール式の原子炉を有し、排出した廃棄物を自ら処理することができるような─を開発するために、その特筆すべき技術力を発揮することを勧めたい。
それこそが、福島で起きてしまった悲劇の遺産を正面から受け止め、日本経済を蘇らせるために、また気候変動を抑止する取り組みにおいて日本が国際的なリーダーシップを発揮していくために最善の方法なのではないかと思うのです。
――日本の反原発派は、福島の事故による汚染、そして高レベル廃棄物のことを考えれば、原子力はクリーンでもなく、安価でもない。経済発展のために、そんな危険なものを子孫に残してはならない、と言います。どう思いますか?
世界中では、およそ440の原子力発電所が稼動しています。我々はおよそ50年の間、商業用の原子力を保持してきました。その間に、世界では3回の原子力事故が起こりました。スリーマイル島、チェルノブイリと福島です。国連の最も信頼できる科学的見識によると、人の死や放射能による発病が起こったとされている唯一の事故はチェルノブイリです。設計が不完全なソビエト連邦時代のプルトニウム施設で、正気の沙汰とは思えない判断によって突然引き起こされた奇妙な事故です。つまり、概して原子力には、稼動から30年以上が経過した原子炉においてさえも、むしろ注目に値するほどの安全な稼動実績があるのです。
放射性廃棄物の問題は、重大なものではありません。放射性廃棄物の量は少なく、そして、化石燃料の排出物とは異なり、それは全て貯蔵され、所在が確認できます(管理できます)。この放射性廃棄物が数千年の間も放射性を保持する間、それらは次世代原子炉の燃料としてリサイクルされ、再利用することができます。この再利用のプロセスが完全に終わった後に残される廃棄物は、たった200~300年の間放射性を有するだけです。
つまり、これはまったく技術的な課題でも、道徳上の問題でもありません。単に政治の問題なのです。もし、あなたが将来の世代の幸福や健康を気にかけるならば、あなたの一番の懸案は、可及的速やかに二酸化炭素の排出を減らすことでなくてはなりません。二酸化炭素は、我々が子孫へ残している有害な遺産です。それに比べ、放射性廃棄物はとるに足らず、簡単に処理できるのです。