現場の仕事を〝面白く〟
現場の仕事が嫌で辞める若者が多いといった声がある。ただ、私は、単に現場の仕事が〝嫌だから〟というより、〝面白くないから〟辞めるというケースが多いのではないかと感じている。
「これをやれ」という一方通行の指示ではなく、どうやったら若者がやりがいをもって仕事ができるようになるのか、それは上の立場にいる人間が考えなければならない当然の責務である。
また、三次、四次といった多重下請け構造も、今の時代、果たして適切なのか、今後も持続可能なのかといったことも考えるべきだ。元請けも技術の多能工化を進めていかなければならない。
発注者にも問題がある。現場で起こる事故やトラブルの中には、設計したコンサルタントや発注者が現場の状況や工事内容を理解していない場合がある。
にもかかわらず、「次の発注に影響が出るから」と、ゼネコン側が謝罪するケースもあり、本末転倒だ。
最後にもう一つ。建設業の仕事は「つくったら終わり」であることが多い。だが、コピー機やエレベーター、エスカレーターの会社はメンテナンスに力点を置き、利益をあげている。建設業も今後は、つくったあとのメンテナンスとオペレーションをセットで行うような経営も考えていくべきである。
建設業の2024年問題を考えるにあたっては、こうした業界全体の本質的な課題について、同時並行で議論し、改革していく必要がある。残業規制だけで解決できる問題ではない。