2024年11月24日(日)

バイデンのアメリカ

2023年8月20日

 しかも、起訴状の中では、この「一団」について、随所で「犯罪集団criminal organization」と形容されており、2年半がかりで捜査に取り組んできた検察当局の執念と意気込みを感じさせるものとなっている。

〝共謀者〟たちの罪は

 続いて起訴状は、各被告の具体的罪状に言及している。

 まず、〝首領〟のトランプ氏については、13項目の罪状を挙げているが、このうち主なものは、以下の5項目だ:

1.2020年大統領選の50州における開票結果の集計作業が完了し、バイデン候補の当選が判明したにもかかわらず、虚偽の「勝利宣言」を繰り返した

2.ジョージア州および他州における開票結果を覆させるために画策、共謀した

3.大統領選敗北確定後の21年1月2日、大統領執務室からジョージア州の州務長官を電話で呼び出し、1時間にわたり、(同州での勝利確定のために)「あとトランプ支持票1万1780票を見つけ出してほしい」などと具体的数字を挙げて強要した

4.ジョージア州で確定した「バイデン候補選挙人団」を「共和党選挙人団」とすり替えるよう同州議会共和党議員らに働きかけた

5.当時のマイク・ペンス副大統領に圧力をかけ、大統領選挙人団の最終認定に臨む上院議長としての立場を利用として、バイデン選挙人団を否認するよう要求した

 大統領の個人弁護士として暗躍してきたルドルフ・ジュリアーニ氏は、13項の罪状で起訴され、その中の主なものとして①ジョージア州ほか複数州で、バイデン氏の当選結果を覆すための工作を主導した、②ジョージア州において、偽って「さまざまな選挙不正があった」として複数の州議会関連委員会を誤った方向に導いた、③21年1月6日に予定されていた連邦議会における選挙人団最終認定審議に送り出すためのニセの「選挙人団」を準備させた――などが列挙された。

 起訴状は、大統領首席補佐官だったマーク・メドウズ被告については、以下の2つの罪状に言及している:

1.21年1月2日、大統領とジョージア州務長官との電話会談を設定、同席し、バイデン勝利を否認させるとともに、トランプ当選を可能とするよう働きかけた

2.20年12月下旬、大統領を交えたホワイトハウスでのスタッフ・ミーティングで、接戦州の投票機械を連邦軍動員により差し押さえする案件について画策した

 また、司法次官補だったジェフリー・クラーク被告は、①司法省高官の立場を利用し、「ジョージア州の選挙不正」をでっち上げると同時に、同州共和党議員たちに「バイデン選挙人団」を反古にするよう働きかけた、②「トランプ当選」画策への協力の見返りとして、自らを「司法長官代行」に抜擢登用するよう大統領に働きかけた――の2つの罪状で起訴された。

 このほか、一味の罪状として①ジョージア州コーヒー郡の投票マシン・システムに事前にアクセスして手を加え、投票実施を妨害した、②「大規模な選挙不正」という虚偽の情報を各州で拡散させた、③ジョージア州選挙管理委員会スタッフの自宅に押しかけ、脅迫し、「選挙不正」を認めさせようとした、④投票集計用コンピューター・ソフトウェア、投票イメージ情報、個人投票情報などを窃取した、⑤複数州で法的正統性のない「トランプ選挙人団」を組織、実際に州議会内で非公開の協議を行った――など、悪質極まる具体例が起訴状で列挙されている。まさに「犯罪集団」そのものの犯行ぶりが暴露されたかたちとなっている。


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