2024年6月25日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年8月28日

 ただプーチンの歴史の書き換えが成功することはないと考えられる。なぜなら、ゴルバチョフ、エリツィンの時代に多くの事実がソ連、ロシアも認める形で明らかにされており、プーチンが「瓶から出てしまった魔神を元に戻す(put the genie back in the bottle)」ことは無理であると思われるからである。

ナチスとの条約を自ら公開したゴルバチョフ

 たとえば、独ソ不可侵条約締結の際に結ばれたモロトフ・リッベントロップ秘密議定書はゴルバチョフの時代に公表され、ゴルバチョフの盟友であったヤコブレフ・ソ連共産党政治局員が編纂した資料集に掲載されており、誰でも読める。それまでソ連はその存在さえ否定してきた。

 カティンの森事件についてもソ連は責任を認め、ポーランドに謝罪している。

 これらを帳消しにしてスターリン時代の歴史を復活させられると考えているプーチンは現実離れをしていると思わざるを得ない。誇大妄想か被害妄想か、妄想に捕らわれていると言っていいのではないか。

 プーチン政権は、スターリンの犯罪を記録に残していた人権団体「メモリアル」を解散させ、その記録を没収したりしているが、これも無駄な努力であろう。

 プーチン後に、非プーチン化の動きが出てくるのは必至であろう。

 嘘で固められた歴史観を守るのは難しい。弾圧を濫用しても無理であると思う。

 なお、プーチンのやっていることは、1993年ロシア憲法の思想の自由の関連条項に違反している。

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