2024年4月22日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年9月18日

 ワシントン・ポスト紙コラムニストのマックス・ブートが8月28日付けの論説‘The myth of Russian ‘red lines’ is keeping Biden from doing more for Ukraine’で、バイデン政権はロシアのレッドラインを恐れるあまり、ウクライナのために十分なことをやっていない、と批判している。要旨は次の通り。

(OLGA Zhukovskaya/marc chesneau/gettyimages)

 最近、ウクライナはモスクワなどをドローンで攻撃したが、クレムリンの反応は怒りの表明だけだった。戦争開始当初、西側、特にホワイトハウスはロシア内部への攻撃はプーチンが核使用さえを含む劇的なエスカレーションをすることにつながる「レッドライン」超えになると深刻に心配していた。しかし、最近の経験は、そうではないことを示している。

 しかし、バイデン大統領はまだプーチンの挑発を心配しているようだ。政権のウクライナへのF16提供への躊躇、長射程のATACMS(Army Tactical Missile System)の提供やロシアによる黒海封鎖への挑戦の取りやめは、それ以外にどう説明できるのか。この3事例すべてでバイデン政権は紛争を長引かせ、キーウの成功のチャンスを掘り崩している。

 F16については、デンマーク、オランダ、ノルウェーが米国の許可を得てウクライナに70機以上を提供すると約束したが、ウクライナ人パイロットの訓練には時間がかかり、最初のウクライナのF16は次の夏まで飛ばないという。つまり、F16は今の反転攻勢が終わった後に到着し、来年の戦闘の季節にも十分な数は提供されない。

 F16以上に緊急性があるのがATACMSの提供だ。より大きな弾頭を長距離で精密に攻撃でき、クリミア半島全土を攻撃できる。もし正しく使われれば、ロシア軍にとりクリミアは防衛不可能になるだろう。政権は、ATACMSを提供しない理由として、米国が少なすぎる数しか持っていないことも挙げているが、そうであれば、その生産を増やさないのは政治的意思の欠如である。

 同じような政治的意思の欠如は、7月の穀物合意の崩壊の後、ロシアによる黒海の封鎖にもっと力強く挑戦を行う意志の欠如にも明らかである。

 バイデン政権は、ウクライナへの430億ドルの軍事支援をしたことで称賛されるべきであり、最近ではクラスター爆弾を供与した。しかし、政権はウクライナがその反転攻勢が思うように進まない中で、ウクライナが必要としている重要な援助を与えるのを躊躇している。

 バイデンの恐れは、かつては理解できるものであったが、今は過剰に見える。ウクライナへのより多くの援助はより大きな戦争のリスクをもたらさない。それは現在の紛争を短くし得る。

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