2024年6月18日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年9月10日

 「薄熙来は未来に対して期待を持っている。そして彼の(法廷での)『表現』を通じて支持者の支持を得ようと期待した。将来に変化が起これば、彼は捲土重来のチャンスがあると認識している」

 こう解説するのは、人権派弁護士の江天勇氏だ。

 支持者に対する「表現」の方法として「微博中継」が加わった。その結果、公判は当初、「出来レースの芝居」と見られていたが、「やらせ」なしの劇場型政治ショーに変わると共に、薄は支持者に訴える絶好のチャンスを得られた。

 共産党幹部養成機関「中央党校」の機関紙・学習時報(9月2日付)は、「微博中継」に関して「司法の公開が、公正な司法や司法の信頼の向上に非常に大きな促進的役割を果たすことを示しただけでなく、中国の新指導部が法治思考と法治方式で腐敗に反対する鮮明な態度と断固たる決意を体現したものだ」と絶賛した。

 薄も公判最終日にこの微博中継について「公正さを追求する党中央の決意の表れであり、中国司法の未来への確信が増した」と評価したが、内心では反撃のための政治的道具になると認識しただろう。

「封じ込め式公開」で報道規制

 習指導部は、微博での公開をプラスにしようと思惑を持ったが、薄熙来の戦略はその上を行った。そして習は薄の政治力とその背後にいる勢力を恐れた。

 メディア論を専門にする北京の大学教授は、今回の微博を通じた公判の実況中継を「封じ込め式公開」と解説した。

 微博を通じた法廷記録では、「上層部の指示」があったと薄が漏らした部分は削除された。しかしそれら一部を除いてほぼ全面公開になったわけだが、法廷で傍聴取材が認められたのは新華社通信や中央テレビなど国営メディアに限られた。さらに1日2回にわたり開かれた質問なしの記者会見に出席でき、法院周辺での取材も許可される記者証を持てたのは、筆者ら外国人記者や香港・台湾のメディアに限定され、中国の一般市民に最も読まれる大衆紙や影響力を高めるインターネットメディアの記者は閉め出された。多くの中国人記者は傍聴取材どころか法院周辺から排除されたのだ。

 あるネットメディア記者は「薄熙来事件は共産党にとって敏感な問題。宣伝当局からはわれわれに『新華社の配信記事を使用する』よう指示があった。記者証ももらえず、自由な取材も認められない。法院に来る陳情者の状況なんて報じることは絶対にできない」と不満を漏らした。


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