2024年3月4日(月)

教養としての中東情勢

2023年9月27日

 そうした中、アゼルバイジャンが23年9月19日、ナゴルノカラバフ側の地雷で兵士が死傷したとして攻撃を開始。2日間でナゴルノカラバフを制圧、武装解除した。

 アゼルバイジャンのアリエフ大統領はアルメニア住民が今後、アゼルバイジャン市民として統合されることになると宣言し、「民族浄化」の懸念を一蹴したが、多数のアルメニア人が本国に向けて脱出を図っている。

ロシアの限界露呈

 今回の衝突で露呈されたのはプーチン政権の機能不全だろう。ロシアの平和維持軍の駐留は続いているが、アゼルバイジャンが検問所を設置し、緊張が高まった時も傍観するだけで、アゼルバイジャン側の行動を阻止しようとはしなかった。プーチン大統領は2日間の衝突の最終局面でやっと介入したが、すでにアゼルバイジャンの全面勝利で決着が付いていた。

 「プーチンの頭は1つのことでアップアップだ。ウクライナ戦争に勝つことしかない。だから近隣で何が起ころうと対応がおざなりになる。土壇場で介入して停戦の格好を付けただけだ」(識者)。ニューヨーク・タイムズによると、こうしたロシアの似たような機能不全はすでに明らかだったという。

 昨年、ロシア主導の「集団安全保障条約機構」(CSTO、6カ国)のメンバーである中央アジアのタジキスタンとキルギスが小規模の国境紛争を起こしたが、ロシアは手をこまねいて静観していた。またその6カ月後、アゼルバイジャンがアルメニア領内を越境攻撃する事件が発生したが、これもアゼルバイジャン側がウクライナ戦争で混乱しているロシアが何も対応できない、として踏み切ったものだという。

アルメニアの〝反逆〟

 こうしたロシアの無力ぶりを痛烈に批判しているのがアルメニアのパシニャン首相だ。アルメニアとアゼルバイジャンはともに旧ソ連邦の一員で、アルメニアはCSTOのメンバー。アゼルバイジャンは加盟していない。CSTOは北大西洋条約機構(NATO)同様、集団的自衛権を掲げている。

 しかしパシニャン首相によると、アルメニアがアゼルバイジャンから越境攻撃を受けたにもかかわらず、ロシアはCSTOの集団的自衛権を発動しなかった。首相はロシアによる安全保障体制が機能していないと批判するとともに、ロシアによるウクライナ侵攻は「間違いだ」と決めつけた。


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