さらにアルメニアは9月11日からロシアの適対国である米国との合同軍事演習「イーグル・パートナー2023」を実施、一方でCSTOの自国内での演習を認めないと表明した。またウクライナ侵攻に絡んでプーチン大統領に逮捕状を出した国際刑事裁判所加盟にも動いている。首相の妻は9月初め、キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談している。
動く米国、戦略地図に変化
こうした首相の〝反逆〟にロシアは激怒。ロシア外務省は「アルメニアのロシア批判は受け入れ難いし、西側に吹き込まれている」と反発した。
アルメニアとロシアの亀裂に乗じようとしているのが米国だ。バイデン政権のパワー国際開発庁長官ら高官2人がこのほどアルメニアでパシニャン首相と会談した。
報道によると、長官は首相に対し、アルメニアへの強い支持を伝え、「主権、領土保全、民主主義に対する米国の深い約束」について話したという。「米国はロシアがウクライナ対応で手いっぱいなのを利用してアルメニアを欧米側に引き込もうとしているのは明らかだ」(識者)。
ロシアにとって、ウクライナに次いでアルメニアが西側陣営に下るようなことになれば、深刻な打撃となるのは必至。ナゴルノカラバフ紛争はロシア、米国、トルコ、イランといったプレーヤーの思惑が絡んで重大な戦略地図の変化をもたらそうとしている。