来年6月のメキシコ大統領選挙に向けて与野党双方が女性候補を擁立したことにつき、両候補の背景やどのような大統領になるかについてEconomist誌9月9日号の記事が解説している。要旨は次の通り。
来年のメキシコ大統領選挙に向けて、野党連合はソチル・ガルベス上院議員を、与党の国家再生運動(MORENA)はクラウディア・シェインバウム前メキシコシティ市長を候補者に選出、女性候補2人が対決することとなった。
ある調査によると、今選挙が行われれば、44%対27%でシェインバウムが勝つとされる。
ロペス・オブラドール大統領の弟子であるシェインバウムは、社会的配分の拡大や化石燃料への強力な支援などを含む「第4の変革」を引き継ぐと約束している。大統領と同様、彼女は選挙管理機関の独立性を抑制し、裁判官を選挙で選ぶことにも賛成している。
しかし、現大統領といくつかの点で異なるであろう。政策立案には技術面を重視するアプローチをとり、批判者に対しては彼ほど攻撃的ではないだろう。現大統領の優先事項ではないグリーン転換を「加速」させるとしている。
現政権に欠けている確実性がビジネスにとり必要とであることを理解している。外資系企業が米国に近いメキシコに生産拠点を移すことで、労働者が確実に利益を得られるようにしたいとも述べている。
ガルベスの知名度は低いが、政治家としては初心者ではなく、シェインバウムにとって手強い候補となるだろう。彼女はスラングを使って政権構想を論じ、また、貧しい先住民の家庭の出身である(シェインバウムは中流階級の出身)。メディアの注目を集めるのがうまい。
彼女は、公共サービスを改善すると述べているが、詳細はまだ不明だ。グリーンエネルギーを開発するための国営企業を設立し、メキシコ人がロボット工学やAIについてもっと知ることを望んでいるという。
犯罪防止が重要な論点になるだろう。シェインバウムには、市長として首都の殺人事件の発生率を急速に低下させた実績がありこの点有利だ。
ガルベスが有権者の支持を得るためには、主要な問題についての理解を深める必要がある。中産階級の多くは、野党が政権に就いていた時期について憤りを感じているが、MORENAには投票したくなく、シェインバウムは好きではない。しかし、ガルベスが国を率いるために事態を把握しているとも思っていない。
両候補とも、彼らの構想実現の費用をどう調達するかについて真剣に考える必要がある。
* * *
来年のメキシコの大統領選挙は、与野党の統一候補がいずれも女性となり、メキシコの歴史始まって以来初めて女性大統領が実現することがほぼ確定した。