16年以降、共和党はトランプにある意味乗っ取られたところがあるが、トランプの岩盤支持層である白人労働者層の支持を得続けたいと考えている。もちろん、共和党内にはリバタリアン系など労働組合に批判的な勢力も存在感を示しているため、労働組合との関係を深めるという主張は成立しえず、組合を介することなく労働者に恩恵を与えるというのが主張の根幹となるだろう。
その意味では、労働者の支持を得つつ組合の解体を目指すという方向を目指す戦略も採用され得る。
大統領選をも左右する存在
以上をまとめると、24年大統領選挙に関して、バイデンと民主党は労働組合の支持をしっかりと固めたうえで、組合に参加していない労働者の支持をできるだけ確保するというのが基本戦略になるだろう。他方、トランプは16年大統領選挙の際に勝ち取った白人労働者層に加えて、労働組合の切り崩しを行って票を積み上げたいと考えているはずである。
このように、労働者をめぐる政治は、24年大統領選挙について考える上で最重要なトピックの一つとなるであろう。
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