なぜトランプはミシガン州の労働者票を狙うのか?
2回目の共和党大統領候補テレビ討論会を欠席したトランプ前大統領は9月27日(現地時間)、中西部ミシガン州で自動車産業の労働者を前に演説を行った。その狙いは、バイデン大統領の支持基盤である労働者票を奪うことである。
ただ、それのみではない。本当の狙いは「選挙人」にある。
12年米大統領選挙でオバマ選対の選対本部長を務めたジム・メッシーナ氏は、前回の大統領選挙でバイデン大統領とトランプ前大統領の得票率が2.8ポイント差以下であった激戦7州(東部ペンシルベニア州、中西部ウイスコンシン州、ミシガン州、南部ノースカロライナ州、ジョージア州、西部アリゾナ州、ネバダ州)に注目した(図表3)。7州以外の州は、青(民主党が強い州)と赤(共和党が強い州)が明白であるからだ。
メッシーナ氏は、来年11月5日の大統領選挙でバイデン大統領がミシガン州、ウイスコンシン州とペンシルベニア州の3州で勝利を収めれば、他の激戦4州を落としても、選挙人「270」でギリギリ当選できると計算している。
バイデン選対のジュリー・チャベス・ロドリゲス選対本部長とクエンティン・ファルクス選対副本部長は、第1優先をミシガン州、ウイスコンシン州とペンシルべニア州の3州、第2優先をノースカロライナ州、ジョージア州、アリゾナ州、ネバダ州の4州に分類しているフシがある。
トランプ前大統領は16年米大統領選挙で勝利した上の3州を奪還できれば、「バイデン再選」を阻止できる。トランプ氏はそう考えてミシガン州に乗り込んで行ったに違いない。24年米大統領選挙は、3州の労働者票の争奪戦になりそうだ。