2024年11月22日(金)

日本の漁業は崖っぷち

2013年9月20日

 本来、産卵場、漁場も漁獲もほぼ日本のみで資源管理もできるはずの太平洋クロマグロ。しかしながら未成魚を大量に漁獲してしまい、卵を持っている親のマグロも一網打尽にしてしまう巻き網の乱獲を規制できていないために、大きくなるはずのマグロが減少し、一本釣り等で中・大型の価格が高いマグロを釣って、生計を立てている漁業者の生活を苦しめているとしたら、資源が減少していくということも併せて大きな問題です。

いずれはワシントン条約の保護対象に…?

 しかしながら、一網打尽にする大型巻き網船については、日本の漁船よりかなり立派で大型の船がノルウェーで操業しています。しかし個別割当制度で船ごとに漁獲できる量が厳格に決まっているので、獲り過ぎることなく魚の資源量は安定しています。巻き網船が悪いのではなく、漁船ごとに科学的な根拠を元にした漁獲枠が割り当てられる制度がないことが問題なのです。日本の漁獲枠は、枠というより目標漁獲数量のようなものです。このため、漁業者から漁獲数量に対する不満は出にくいですが、その一方でクロマグロも、確実に資源が減り、小型化してしまいます。

 政府はこのままクロマグロの減少が続けば、3年後の2016年に南アフリカで開かれるワシントン条約で米国などが保護対象にクロマグロを加えることを懸念しなければなりません。資源が減少して行くスピードが、漁獲枠を削減していくスピードを上回れば、資源がなくなっていくのは言うまでもありません。しかも、個別割り当て制度ではなく、早い者勝ちの漁獲方式であるため、小型だろうが脂がのっていない時期だろうが、魚を見つければ逃さず獲ることが漁業者にとって不可欠である仕組みになってしまっているため、資源が減り、小型化で水揚げ金額も減っていくという最悪の状態が続きます。そして漁業者だけでなく、水揚げされた魚を売る業者を苦しめ、消費者も離れていくという事態に陥ってしまうのです。

資源管理が不十分な魚の輸入は制限を

 「太平洋のクロマグロの資源・養殖管理に関する全国会議」の意見交換会では「クロマグロが抱卵する時期の休漁を設置してほしい」という将来の資源を考えた意見がある一方で「これ以上規制されるとやっていけない」、「台湾、韓国などは規制に従うのか」といった意見も出ています。

 前者の意見については、このままやっていけば、資源が減り、クロマグロ漁自体がやっていけなくなるでしょうし、後者の台湾・韓国等他の国々については、まず日本でしっかりと規制し、同時に外交手段を用いて資源管理を共同で行い、マグロを大きくして漁獲していくことが、関係国の相互利益につながることを、日本が積極的にリーダーシップをとって主張していくことが重要です。


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