日本のクロマグロは98%以上が未成魚での漁獲!
再び、日本のケースを見てみましょう。まず日本のクロマグロの漁獲は恐るべきことに、水産庁によると「0歳魚が67.1%、1歳魚25.5%、2歳魚5%、3歳魚1.2%、4歳魚以上の成魚はわずか1.2%。」となっており、実に98%以上が未成魚の漁獲なのです。上記の東部大西洋のケースに当てはめると、魚の大きさから考えて、ほとんど漁獲してはならない状態と言えます。漁獲した魚を育てて大きくする養殖の場合は、魚を大きくする余地があります。しかしながら、言うまでもなく、子供のマグロをそのまま売れば、死んだ魚は大きくなったり、卵を産んだり、価値が高くなったりしません。このような子供のマグロが安く売られているので、食べないで下さいということなのです。
巻き網船の水揚げは1隻で50トン以上もあることが多く、この数量は全国屈指のはえ縄マグロ基地である和歌山県勝浦港の年間水揚げを上回るそうです。まさに巻き網は一網打尽、巻き網の影響でマグロがいなくなったという声が全国各地で上がっているそうです。
巻き網船が漁獲するマグロは、かつては平均100kg以上のものが獲れていたのに、小型化が続きメジマグロの比率が極めて高くなっているという、かなり危険な資源状態になっているのです。水産庁によると太平洋クロマグロは、若い時には太平洋を回遊するものの、実質的に日本の200海里内に産卵場があり、獲るのも利用するのも日本で、ほぼ我々の資源といってよいそうです。しかし、このままの獲り方では資源量はすでに限界に達しており、卵を産む前のマグロを98%も獲ってしまうことを改める必要があると指摘しています。
卵を持つマグロまで獲ってしまうシステム
日本海の境港で今年水揚げされたクロマグロは、前年比2.3倍 の1,333トンで、前年の583トンを大きく上回りました。巻き網業界は、2011年から境港でのマグロ水揚げを毎年2000トン程度にする自主規制を導入しています。ただし、日本海での巻き網漁が本格的に始まった2004年以降、2000トンを超えたのは2回だけですので、現制度での漁獲枠では実質獲り放題で、漁獲枠というより、目標とする漁獲数量のように思えます。
また、夏場の時期に獲れるマグロは、産卵期のため、成魚は卵を持っています(写真)。このため夏のマグロは痩せていて脂が少なく、巻き網では魚に傷がつきやすく、かつ漁獲後の処理は一本釣りと異なって、迅速にできないため、魚の価値は高くありません。今年最初の水揚げとなった6/6に境港で水揚げされたクロマグロは、昨年の初日を3倍超える60トンでした。築地には246本入荷しましたが、内179本にセリ値が付かず安値で相対取引に回りその後も、天然のクロマグロであるにもかかわらず、セリ値が付かず相対取引で安値販売されたケースが多かったのです。