2024年3月4日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年10月18日

 7月のNATO首脳会議で、スウェーデンのNATO加盟問題は、NATO事務総長、スウェーデン首相、エルドアン大統領の会談で決着したものと報道され、考えられてもいたが、エルドアンがさらに譲歩を得ようとごねはじめたり、ハンガリーのオルバン首相もこの問題は急ぐことではないと述べたりしている。

 トルコとハンガリーを除くNATO加盟国は、スウェーデンの早期加盟を歓迎している。バルト海での戦略バランス、北欧での戦略バランスが、これでNATO有利に変化することは確実であり、NATOの大きな強化になる。トルコとハンガリーはNATOの強化を邪魔しているが、NATO同盟国としての資格があるのか疑問を抱かざるを得ない。

 スウェーデンとフィンランドのNATO加盟は、プーチンのウクライナ侵攻が引き起こしたもので、それのみでもロシアの戦略的立場を害するものであるが、エルドアンがしていることはそのプーチンに花束を贈るものであるというこの社説の主張は的を射ている。

 この問題の解決は、上記ワシントン・ポスト紙の社説が言うように、トルコへのF16関連の売却とトルコによるスウェーデン加盟容認の取引を行う事であろう。コーラン焼却禁止法やトルコのEU加盟の進展というトルコ側要求は筋違いであり、そんなことに応じることはあり得ないだろう。

全会一致原則を再考か

 エルドアンは自分を外交上の策略に長けた人と考えているのかもしれないが、NATO諸国の彼への信頼はこの件で大きく傷ついたと思われる。EUで今意思決定の全会一致原則の見直しの議論があるが、NATOでもそういう議論が今後ありうるだろう。

 いずれにせよ、トルコの横車押しは認めてはいけない。極端なことを言えば、トルコとハンガリーを除くNATO諸国とスウェーデンとの間でNATO条約と同じ条約を締結してもいいだろう。トルコがやっていることは全会一致原則を乱用してNATOの強化を邪魔していることである。

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