2024年12月7日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年7月26日

 2023年7月10日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙に、同紙中東特派員のジャレッド・マルシンらが、「トルコはスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟に同意する。協約はリトアニアでのNATO首脳会議前の交渉でできる」との解説記事を書いている。

(LynaStock/webclipmaker/gettyimages)

 トルコはスウェーデンのNATO加盟申請に賛同した。合意はリトアニアでのNATO首脳会議前の数時間に達成された。NATOはバルト海をまたぐ1000マイル以上の地域に拡大し、北欧での力のバランスを変え、ロシアの軍艦と航空機の航路を塞ぐ拠点を得る。 

 今年初めのフィンランド加盟とともにスウェーデンの加盟は数百機の軍用機と戦車、数万の兵士という軍事的重さを同盟に与える。この北欧2カ国はロシアの考え方に深い洞察も持つ。ストルテンベルグNATO事務総長は「スウェーデンのNATO加盟は歴史的な一歩であり、すべてのNATO同盟国の安全保障に利益をもたらす」と述べた。

 この決定はバイデン大統領の重要な外交目標を達成することにもなる。バイデン政権はトルコへのF16戦闘機の200億ドルの販売を提案して、エルドアンにスウェーデンの加入を認めるように求めていた。

 スウェーデンにとってNATO加盟はロシアに対する安全保障を提供する。NATOにとってスウェーデンとフィンランドの加盟はロシアが海軍のプレゼンスを強める中、北欧における重要なギャップを埋める。両国は直ぐに同盟に統合され得る。

 エルドアンは妨害の脅威と強硬外交で、NATOにおける彼とトルコの影響力を拡大した。しかしエルドアンは引き続き新しい要求を出している。最近、彼はスウェーデンの加盟はトルコの欧州連合(EU)加盟と結び付けられるべしと述べた。スウェーデンはトルコがEUに加盟する努力を支持すると同意した。

 スウェーデンとフィンランドは相当な防衛投資をしてきた。その上、スウェーデンは北欧で最大の領土を持ち、フィンランドとバルト諸国への兵員、装備の輸送を可能にする。フィンランドはロシアとの最長の国境を有する。両国とも戦略的に重要なバルト海に長い沿岸を有する。

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 今回、スウェーデンのNATO加盟が実現することになったことは慶賀すべきことである。


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