マーク・エスパー元米国防長官とイヴリン・ファーカス元米国防次官補が、5月31日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)に、「トルコはスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)に入ることを許可しなければならない。もし7月のビリニュス首脳会議前にスウェーデンが加盟国でないなら、エルドアンとオルバンは歓迎されるべきではない」との論説を寄せている。
トルコの大統領選挙の結果が出た今、トルコとハンガリーはスウェーデンのNATO加盟申請に賛同する時である。スウェーデンは加盟に値する。7月中旬にリトアニアでNATOの首脳会議が予定されているが、フィンランドとスウェーデンの加盟を認めるとの目標を達成するためには、数週間しかない。
フィンランドは4月にNATOに加盟したが、スウェーデンはトルコの反対で取り残された。ハンガリーもスウェーデンの加盟に賛同していないが、トルコが賛成するならば賛成するとしている。
エルドアン大統領はスウェーデンが取り組むべきいくつかの課題を指摘している。その中には、スウェーデンがクルド労働者党(PKK)のようなテロ組織に安全な隠れ場を提供しないことを保障することがある。スウェーデンは憲法を改正し、新しい反テロ法を立法した。この法は6月1日に発効し、トルコとの問題はなくなった。
スウェーデンの2023年予算提案は、防衛にNATOが期待するように、2026年までにGDPの2%を支出することを約束している。スウェーデンは、ロシアの脅威に対抗する有利な地理状況、情報識見、強い防衛産業、称賛に値する海洋能力などから、NATO加盟に値する。
ビリニュス首脳会談を超えて加盟を遅延させることはロシアを元気づけ、NATOを掘り崩す。米国を始めNATO加盟国は、トルコとハンガリーにスウェーデンの加盟を直ちに認めるように圧力をかけなければならない。スウェーデンはエルドアンの要求を満たすためにやれることは全てやった。彼にはさらなる口実はない。
フィンランド政府高官は、スウェーデンがNATO同盟国でない場合、フィンランドの安全保障は最大にならないと述べた。NATOがすべきでないことはプーチンに立場を強める機会を与えることである。ウクライナ人はあまりに多くの犠牲を払った。
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エスパー元国防長官は米国のシンクタンクであるアリゾナ州立大学マケイン研究所の理事で、ファーカス元国防次官補はマケイン研究所の事務局長をしているが、この論説は、7月のビリニュスNATO首脳会議前にスウェーデン加盟を認めるべきであるとの主張をしている。ジョン・マケイン上院議員が主張したような主張である。