2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年10月18日

 2023年9月26日付のワシントン・ポスト紙が「エルドアンはスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟問題でやり過ぎている」との社説を掲載し、トルコのエルドアン大統領を批判している。

(Andrii Yalanskyi/gettyimages)

 エルドアン大統領は、5月の大統領選挙後、スウェーデンのNATO加盟へのトルコの反対を取り下げる、あるいは7月のNATO首脳会議前にはそうするとの予測を混乱させている。彼は首脳会議では今年中にトルコはスウェーデンの加盟を認めると誓約したが、その2日後、彼はトルコの議会が賛同することが必要であると言い方を変えた。

 エルドアンの妨害には伝染性があり、ハンガリーのオルバン首相は以前にはスウェーデンの加盟を支持すると誓約していたのに、いまはスウェーデンの加盟を邪魔すると脅している。

 エルドアンは、スウェーデンのNATO加盟への承認と、米国からのトルコ空軍の近代化の部品と200億ドルのF16戦闘機取得を、取引しようとしている。バイデンは、F16の売却を支持しているが、議会の承認は必要だとエルドアンに述べた。エルドアンは、主要20カ国・地域(G20)首脳会議でバイデンと会った時に、バイデンがF16とスウェーデン加盟問題を結び付けていることに落胆を表明した。

 この行き詰まりは、エルドアンが「特別の関係」を持つとしているプーチンへの花束である。トルコの立場を再評価する必要があろう。

 スウェーデンの加盟でNATOはかなり強化されるだろう。ロシアのウクライナ侵攻後、スウェーデンは長年の中立政策を捨て、NATO加盟を求めた。スウェーデンはトルコの要請でクルド人数人を引き渡し、テロリストに強硬な措置を許すように憲法と法を修正したり、トルコへの武器禁輸を取り下げたりした。

 エルドアンとNATOにとって最善の選択肢は、バイデンらが提案している取引、すなわちトルコが正式にスウェーデンのNATO加盟を批准したらF16関連取引を認めることで前に進むことである。


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