2022年8月8日(月)

World Energy Watch

2013年10月4日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 一方、アジア諸国の発電量は中国、インド、日本、韓国を除けば極端に少ない。輸出入を本格的に行う体制を構築できるほどの設備を持っている国は他にはない。アジアで送電線網構築が検討されている主目的は輸出入ではなく、一方通行の他国への電力供給だ。例えばカリマンタン島のマレーシア・サラワク州と島の東側のインドネシアとの間でアジア開銀などの資金で直流高圧の送電線が敷設されることになった。目的はマレーシアの水力発電からのインドネシアへの電力輸出だ。輸出入ではない。なぜ、アジアでは一方的な輸出だけなのだろうか。それは、コストが安い水力発電の利用が国を跨いで行われるからだ。

アジアの送電網はコストが安い水力利用のため

 日本でも、戦後十数年間は「水主火従」と言われ、水力発電が主体の時代があった。電力需要量が大きくない時期には水力を利用することで需要を満たすことができる。東南アジア諸国の電力需要量は、まだその段階だ。

 メコン川の上流に位置するラオスは開発が最も遅れている国だが、豊富な水資源に恵まれている。現在の発電能力は水力の180万kWだけだが、水力発電の可能性は2000万kW前後あるとされ、20年までに30以上の発電所プロジェクトが開発される予定だ。既に700万kW分がタイに、500万kWがベトナムに供給されることが合意されている。

 ちなみに、ラオス、カンボジア、ミャンマーで11年までの5年間に建設された水力発電所のうち46%、270万kWには中国輸銀、開銀が融資を行っている。日本企業の進出も急がれる地域だ。

電気がない生活をしている自国民をおいて
日本に輸出するのか

 今世界で電気がない生活をしている人は全人口の17%、12億人だ。30年には比率は12%に減少するが、人口も増加するので、10億人近い人が電気のない生活を強いられる。東南アジアの多くの国は、今後国内の無電化地域への供給を開始し、さらに経済成長に必要な電力供給を行う必要がある。電気はいくらあっても足らない状況が当分続くだろう。南アジア諸国の電力供給を受けていない人口の比率を図‐1に示した。

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