2024年11月22日(金)

解体 ロシア外交

2013年10月7日

 さらに、9月25日には、プーチン大統領が北部サレハルドで開かれた北極に関する国際会議「北極―対話の領域」で演説し、北極圏の環境保全策を強化する方針を発表した。諸開発などの経済活動、軍事活動、環境保全を全て成立させていく意思を明らかにしたのである。北極圏の自然保護の具体策としては、約32万平方キロメートル(北極圏ロシア領の約6%に相当)の北極圏の自然保護区を数倍に広げることや希少生物の保護などの計画が明らかにされ、政府予算から汚染対策としてすでに約45億円が拠出されていることも強調された。

北からも南からも、中国をけん制

 このように、ロシアは北極海の問題に対し、包括的な対策を強化している。特に、基地の復活の背景には、資源開発を安全に進める、また北極海の航行量の増加に対応するという理由があるのはもちろんだが、直接的には中国に対する牽制ではないかと見る向きが少なくない。今年3月には、中国を牽制するために、ベトナムがロシアを引き込み、南シナ海カムラン湾の共同開発が開始されたことも報じられており、ロシアは中国を北からも南からも牽制したい様子が見て取れる。

 北極海問題は、世界規模でも大きな争点となりつつあるが、中国とロシアの関係を見て行く上でも大きなキーワードとなっていくだろう。


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