2024年7月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年12月12日

 来年の台湾総統選で国民党と台湾民衆党は共闘を目指していたが結局失敗に終わった。2023年11月19日付のTaipei Timesは、この間の交渉を批判し、両党の関係は中台間の「1992コンセンサス」のように曖昧だったと皮肉っている。

(HUNG CHIN LIU/PromesaArtStudio/NikolaVukojevic/gettyimages)

 来年の総統選に向けた国民党(KMT)と台湾民衆党(TPP)との間の「藍白連合」(注:藍と白はそれぞれの党の色)の結成は、再度延期されることとなった。

 両党は11月15日に、世論調査と内部調査を用いて国民党の侯友宜・新北市長と民衆党の柯文哲の一方を総統候補、もう一方を副総統候補と決めることで合意し、結果は11月18日に発表される予定だった。

 柯文哲、侯友宜、朱立倫・国民党主席、馬英九元総統が参加した非公開の協議が11月15日に行われ、4人は6項目の合意文書に署名した。その第3項目は、侯と柯のうち統計的誤差を超えて勝った方が1ポイント獲得するが、結果が統計的誤差の範囲内だった場合は侯に1ポイント加算するとしていた。

 合意の詳細は曖昧だったが、多くの者が侯に有利だと考えた。民衆党と柯はすぐに、なぜ「不公平」な条件に譲歩したのかという支持者の批判に直面した。

 両党は19日、調査結果の解釈につき合意が得られなかったので更なる交渉が必要だと発表して国民に驚きを与えた。「統計的誤差」の意味についての理解が異なっていたのだ。

 候補者の選管への登録が11月24日に迫る中、総統選での共闘は再び宙に浮いた。有権者は、「藍白連合」の不条理を直視し、その統治能力を評価し直すべきだ。

 ここ数日の柯の発言は、一人の人間が決定を下すという民衆党の機構と、柯の指導者としての適性に警告を発している。柯はかつて、最も嫌いなのは「蚊とゴキブリと国民党」だと言っていた。彼は、民衆党とその支持者を、国民党との合意に署名することで裏切った。非公開協議での合意の後、柯は、侯が総統となった場合には民衆党は侯政権を監視すると述べたが、副総統が総統を監視するというのは奇妙な話である。

 国民党と民衆党が合意を「歴史的瞬間」と歓迎したわずか3日後、世論調査結果についての発表で、両党の同盟関係が、いわゆる「1992コンセンサス」(両岸は「一つの中国」を認めるが「中国」の意味の解釈はそれぞれに任されるとの国民党と中国との約束)と同様に曖昧なものであることが明らかになった。

 民衆党と国民党は、「民進党を政権の座から下ろす」ことについてだけは了解があるが、それが何を意味するかについては、それぞれの解釈があるようだ。

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