2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年12月21日

 2023年11月24日付ウォールストリート・ジャーナル紙は、「中国は台湾を諦めていない」との社説を掲載し、中国は、情報操作や軍事的威嚇を着々と進め、台湾総統選挙への介入を諦めていない、米国は、紛争発生抑止を最優先し、対台武器供与等を通じて、習近平が台湾奪還はコストに見合わないと判断するようにすべきだと論じている。 

(Serhej Calka/Igor Ilnitckii/gettyimages) 写真を拡大

 バイデン大統領の習近平主席との最近の会談は、米中共に関係を前進させるものとの説明だ。しかし、習近平は台湾再統一の野望を捨てていない。

 カリフォルニアで、習近平は、バイデンに対し、台湾への武器供与を止め中国が嫌う与党民進党に有利な形での選挙介入を止めるように警告した。バイデンは習近平に対して台湾選挙への「いかなる」介入も予想していないと応じたと言われている。

 中国はプロパガンダや軍事的威嚇により、台湾人を、親中的な国民党に向けようとしている。中国はメディアから財界まで台湾社会に浸透している。

 中国が良くやることの一つは、米国に対する疑念を広げることだ。中国とメディアは、米国は台湾を見捨てる等という情報を流した。

 中国共産党は、軍事的威嚇も強めている。中国空軍機はほとんど毎日、台湾の防空圏に侵入している。中国は台湾周辺の海域、空域、情報域をコントロールするための共同軍事訓練等を実施している。

 1月13日の台湾総統選挙の他、来年は米国も大統領選挙があり、習近平は米国が内部分裂中に、攻撃の機会があると考えるかもしれない。習は軍に対して27年までに台湾統一のため戦えるように準備せよと命じた。

 習近平は台湾の島嶼部を占領する形で危機を作り出す可能性がある。台湾は本年馬祖島とのインターネット・ケーブル2つを意図的に切断したとして中国国船舶を非難した。

 どのような形であっても戦争を戦うよりは戦争を避ける方が重要だ。より早く台湾に武器を供与し、米国の太平洋防衛力を強化することによって米国の国家意思を示し、習近平が台湾奪還はそのコストに見合わないと信じるように持って行くべきである。

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