99年間の租借地となったハンバントタ港は秘密のベールに
2017年から中国の租借地となったハンバントタ港に野次馬的な興味があった。市内バスターミナルから歩いて30分でハンバントタ港のゲートへ。ガードマンによると工事車両用の出入口であり立入禁止。スマホで撮影しようとすると一帯は撮影厳禁と。
一般用正門ゲートは港の反対側だが事前に入構許可証が必要で許可が下りるまで数日要するとの説明。入構を断念。港湾管理会社に電話すると何か聞きたいなら日本から書面申請しろと素気無い。中国租借地はガードが固い。
商工会議所のハンバントタ港への熱い期待
商工会議所事務局長によると大型クルーズ客船が先週寄港して二千人の乗客が上陸して地元観光業者が手配したバス50数台に分乗してゴールの世界歴史遺産やメリッサのホエールウォッチングなどを観光。2023年は15隻寄港。数年先には三倍になると算盤をはじいた。大型クルーズ客船のスケジュールは数年先まで決まっているので現在進めている誘致計画のクルーズ客船が寄港するのは数年先なのだ。
日本の大手自動車会社も本格進出を検討?
商工会議所が注力しているのが自動車会社の誘致。完成車の積替えの中継港としての価値が次第に認知されてきたという。日本・韓国・中国などから完成車を中東・インド・アフリカに輸出する場合にハンバントタで荷揚げして仕向け先別に保管して最終目的地に船積みするという中継拠点(hub)を目指している。
日本の某大手自動車会社が何度か視察に来ており専用の保管ヤードを作る計画があるという。さらには港の後背地に自動車組み立て工場(assembly line)建設構想もあるらしい。港湾運営会社のプレスリリースでは2022年の自動車の取り扱いは56万台、2023年は218隻の運搬船が寄港し70万台突破とある。
さらにプレスリリースによると2023年1~9月の船舶用燃料(重油・軽油)の給油量は50万トンを突破。
他方で商工会議所によると肝心のコンテナ―ヤードはガントリークレーンが2基しか稼働しておらずパッとしないようだ。
港湾大国中国が運営するハンバントタ港の未来は洋々たるものか?
ハンバントタ港のあるスリランカ南岸沖合を通過する船は年間約6万隻。2015年に同港へ寄港したのはたった215隻、2017年には251隻。肝心の直近の稼働状況については情報がない。
国交省の2021年度資料ではコンテナ取扱個数(20フィートコンテナ換算)では世界ランキングトップ10の内で中国の港が(香港含め)8つを占めている。1位上海4700万個、2位シンガポール3750万個、3位寧波・舟山3110万個……9位香港1780万個、10位ロッテルダム1530万個。
ちなみに日本では京浜(東京・川崎・横浜)787万個で、22位ホーチミン795万個、24位コロンボ725万個の間に位置しており寂しい限り。
中国港湾の貨物取扱量が世界の半分以上を占めている現状から判断するとハンバントタ港を管理している中国商業港ホールディングスは高度の港湾運営能力を持っているはずである。また断トツ世界最大の荷主・船主である中国企業と中国商業港ホールディングスとの密接な関係を利してハンバントタ港への集荷営業では大きな後ろ盾になると推測する。
現在は世界ランキングでは後塵を拝するハンバントタ港が意外に早く世界ランキングトップ20入りする日が来るのではないか。そうなれば15%の権益を持つスリランカにとっても貴重な外貨収入源になると思うがいかがであろうか。
以上 次回につづく