2024年12月21日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年2月13日

 近年、世界貿易機関(WTO)加盟後の西側の対中関与政策が失敗したことを指摘する論調が多いが、関与の誤りと言うよりも、そのやり方が問題だったのではないか。西側は、余りに無防備に、競って中国に進出し、結果として中国に最大限利用された。西側の過度のナイーブさが問題だったのではないか。

近年の変化の実態は

 中国の変化については、次のようなことが求められるだろう。

 ⑴ 中国の発展自体ではなく、中国が増大する富と力を如何に獲得し、それを何に使うかが問題だ。西欧の技術を詐取し、あるいはネット等で非合法に取得することは止めるべきだ。外国人材の確保についても、国際標準に沿ってやっていくべきだ。

 ⑵国防偏重は修正すべきだ。南シナ海の領有権主張は国際規範と関係裁判所の決定に従うべきであり、南シナ海の軍事化は止めるべき。海外への軍事拠点、ネットワークの拡大にも警戒させられる。今の中国の政策は、一世紀余前の帝国主義的、覇権主義的先例と基本的に違わない。一方的な現状変更は支持されない。

 ⑶大国になったから当然だとの世界観が中国にはあるように思える。可笑しな議論だ。歴史の流れを正しく理解し、戦後世界の足跡をもっと理解する必要がある。戦後の国際社会の発展は、人類共有の歴史であり、価値あるものだ。それは西洋が造った歴史だといった修正主義的議論には違和感を覚える。戦後秩序のルールを守り、協力して発展していくべきだ。更に言行一致が大事だ。

 ⑷人権や民主化は抑圧されてはならない。国家の正直さも必要だ。偵察気球の他国領域飛来やコロナ禍等については問題があった。

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