2024年12月6日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年2月13日

 CNAS理事長のリチャード・フォンテインが、中国衰退論は尚早、危険であり、それを前提にすることは愚かだ、これが米国の政策の前提になれば米国は中国の挑戦に対する必要な力の結集ができなくなると、2024年1月22日付のワシントン・ポスト紙で述べている。

春節の挨拶を述べる習近平国家主席(新華社/アフロ)

 中国の李強首相は、ダボスで、自国を安定した投資先としてアピールした。彼は、「中国経済には莫大な潜在力があり、それを選ぶことはリスクではなく、機会である」と述べた。

 聴衆は懐疑的だった。中国は、過去2年間、成功よりも問題が増えている。そのため中国経済の不可逆的な衰退を心配する分析家もいる。

 しかし、これらの懸念は全く早計だ。さらに、これが米国の政策の前提になれば、米国は中国の挑戦に対する十分な力の結集ができなくなる。近い将来の主要リスクは、中国台頭の頓挫ではなく、米国が必要な力を結集することができないことだ。

 中国は依然として膨大な利点を有する。その経済は非常に大きく、いくつかの指標では米国の経済よりも大きい。

 昨年の中国の国内総生産(GDP)の成長は恐らく米国よりも高いだろう。中国は120以上の国の主要な貿易相手国であり、人工知能や量子コンピューターといった重要技術分野で米国主導の制約を克服し乍ら革新を続けている。

 中国は、これらの利点を戦略的な力に転換しようとしている。米の国防予算よりは小さいが、中国の国防予算は拡大しており、それは少なくとも向こう5年または10年以上継続する可能性がある。


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