スリランカのビーチ・リゾートはロシアン・コミュニティー
ヒッカドゥア・ビーチの海岸沿いの洒落たホテル。受付嬢によると11月下旬~3月までの冬場のシーズンはロシア人ゲストが大半で3月末までロシア人の予約でほぼ満室。インド人やスリランカ人のゲストはほとんどいない。
ロシア人家族連れは9日~16日間滞在するケースが一般的。コロンボ空港からロシアの旅行社が手配したリムジンやマイクロバスで来る。帰りも同様でコロンボ空港へ直行。ビーチでバカンスを過ごすのが目的なので観光スポット巡りはしない。近隣の数軒のホテルでも聞いてみたがロシア人ゲストがメインで滞在期間や旅行スタイルも同様だった。
事情通の中堅ホテルオーナーのK氏によるとロシア人観光客のホテル手配はいわゆるロシアン・マフィアが独占。ヒッカドウアには約1000軒の宿泊施設があるが3人のロシア人が仕切っておりロシア側旅行会社とタイアップして予算・期間に応じてロシア人ゲストの宿泊先を割り振っているとのこと。それゆえビーチの一等地周辺の特定ホテルにロシア人ゲストが集中する。一般にロシア人は英語が苦手なのでロシア人が多いホテルだと安心で快適というメリットがあるらしい。
ロシア人避寒客から見えてきた経済制裁下のロシアの余裕
メリッサとヒッカドウアのビーチで日光浴しているロシア人避寒客に片端から声をかけてご機嫌伺いした。ほとんどのロシア人は英語が通じないかカタコト英語である。それでも彼らが屈託なくバカンスを楽しんでいることは一目瞭然。家族連れや恋人や友人どうしでバカンスを楽しんでいる。経済的には中くらいのフツウのロシア人ばかりだった。またモスクワやサンクトペテルブルグ以外の地方都市からの旅行客が半数以上だったのは意外だった。彼らからウクライナ戦争の影はまったく感じられなかった。
2023年11月~12月にバリ島で無数に出会ったような徴兵逃れの切羽詰まったロシア人は皆無であった。昨今ウクライナ戦争ではロシア軍の優勢がニュースになっているがスリランカのリゾートでも“ロシアの余裕”が感じられた。
ビーチ・リゾートでの過ごし方、インド人・ロシア人・中国人の顕著な違い
ビーチ周辺を見渡す限り人数的にはインド人が断然多数派。白人系ではロシア人が最多。中国人は滅多に見かけない。インド人は泳げない人間が多く、波打ち際で群れを成して遊んでいる。ホテルのプールでもボールなどで遊んでいるのはインド人だ。ロシア人(欧米系白人も同様)は砂浜やプールサイドでのんびり日光浴。動のインド人、静のロシア人と対称的だ。
中国人は大半が団体旅行の弾丸ツアーなのでビーチは素通り。ホエールウォッチング、絶景スポットの写真撮影、ポルトガル植民地時代の世界遺産の見学を一日で終えてコロンボ方面へ移動する。毎日午前8時頃にはメリッサの街道には中国人グループツアーの中国製観光バス(金龍汽車)が十数台ずらりと駐車。ホエールウォッチングに行った中国人観光客を待っているのだ。12月19日には上海一行23人、南京一行16人、成都一行19人などなどだった。