西側諸国の政府のイスラエル寄りの政策は、世界を危険な淵に追いやるばかりではなく、イスラエルの極右政権が行う戦争に対する無条件の支援はイスラエルにとっても良くない。イスラルの友好国は、白地小切手を「民族浄化」を主張するような最悪の相手(極右政権)に切るべきではない。
極右政権は、ガザを破壊し、イスラエルの未来のみならず、既に問題を抱えている世界の将来の自由と平和も危険に晒している。手遅れになる前にバイデン政権は、その政策を変えなければならない。即時停戦するよう圧力を加え、和平への明確な筋道を示さなければならない。自由主義的世界秩序が冷笑的で暴力と圧政の無秩序に代わるべきである。
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グローバル・サウスとの亀裂
この論説は、バイデン政権をはじめとする西側諸国がイスラエルのネタニヤフ極右政権を支持し、同政権がパレスチナ人を虐殺するのを止めないことは、人権の尊重や人間の尊厳等の西側の自由主義的価値観を信じていたイスラム世界のリベラルな人々にショックを与えているとしている。しかし、むしろ、今回のガザの衝突に対するアラブ世界の静けさに、より大きな衝撃を覚える。
イスラム原理主義のムスリム同胞団の系譜のハマスに対してほとんどの中東諸国が今回の衝突に対して冷たいのは、これらの中東諸国は独裁政治であり、中東の独裁国家はムスリム同胞団を自分達の独裁を脅かす存在と見なしているからなので驚きではない。しかし、民衆レベルでも、2010年のアラブの春の民衆蜂起に比較して、せいぜいイスラエル軍にハンバーガーを無償提供しているマクドナルドをボイコットする程度で動きは鈍い。一昔前までパレスチナ問題は、「アラブの大義」と呼ばれ、全アラブ民族の共通の問題とされていた時期があったことを思えば、この状況は謎だ。