2024年12月7日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年3月15日

 ガザの衝突でイスラエルを無条件に支持したことが、米国およびその同盟国の主張する人権尊重等のイデオロギーのダブルスタンダードさを露わにし、世界の信頼を失わせたという指摘は正しく、非常に懸念される事態だ。2月、ロシアのウクライナ侵攻から2年経ったが、十分な支持を得られる見込みがないので国連総会でロシア非難決議が提案すらされなかった。このことは、ガザの衝突がいまだかって無い程、米国および西側先進国とグローバル・サウスとの亀裂を広げていることを示唆している。

米国の同盟国は欧州諸国のみか

 なお、われわれはアジアの日本、韓国、台湾は米国の重要な同盟国だと当然視しているが、この論説は米国の同盟国を欧州諸国と見なしており、日本、韓国、台湾は眼中に無い。通常、われわれは、アジアの問題に関心のある米国人と付き合い、彼らと違和感無しに対話しているが、実は大多数の米国人にとり、アジアは眼中に無いのではないか。

 米国第一主義のトランプ政権の復活も取り沙汰されているが、今後、米国がますます孤立主義的な傾向を進めていく中で、どのようにして中国、北朝鮮と緊張が高まりつつあるアジア情勢に広く米国民の関心を喚起出来るかについて考えなければいけないだろう。

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