トランプの「中和戦略」と「争点潰し」
ただ一つ明白なのは、トランプ前大統領は4件の刑事訴追の中で、米連邦議会議事堂襲撃事件が11月5日の前に開催され、有罪評決が下されることを最も恐れていることである。
バイデン大統領は2024年米大統領選挙の主要テーマを「民主主義の擁護」に置き、一般教書演説の冒頭で言及したように、トランプ支持者による米連邦議会議事堂襲撃事件を民主主義に対する脅威と位置付けている。これに対して、トランプ前大統領は、確固たる証拠はないのにもかかわらず、20年米大統領選挙で不正を犯したバイデン大統領こそが、民主主義に対する脅威であると本格的に反論し始めた。バイデン大統領が取り上げた主要な争点を「中和」して相殺する、いわゆる「争点潰し」をしているのだ。
本選で「トランプ敗北」をもたらす条件とは?
こうしてみてくると、次の条件を満たせば、トランプ前大統領はバイデン大統領に2度敗れる可能性が高まる。
まず、ヘイリー支持者、無党派層および郊外に住む女性たちが、トランプ前大統領に投票しないことである。次に、どれでも有罪評決が下されれば、トランプ前大統領にとってダメージになるが、4件の刑事訴追の内、米連邦議会議事堂襲撃事件の裁判で有罪評決が示されると、かなりの痛手になる。
上記の2条件を満たせば、本選でトランプ前大統領は勝利が困難になるだろう。